2011年11月26日土曜日

『催眠術ワークショップ』参加される方へ / 催眠術を学ぶことについて

【催眠術を学ぶことについて】
催眠術をなぜ学ぶか、一体何の役に立つのか。
僕自身がこのことについて、悩み続けてきました。

学んで頂く前に、僕が感じている感覚をまずお伝えします。

人が何かを誰かに話すとき、話さずとも誰かの目の前に存在しているとき。他人というのものを想定できるときはいつでも何らかの影響を他人に与えています。
それは目に見えないとき、例えば相手がメールの返信を待っているときですらそうです。

そうした自分が他人に与える、或いは与えてしまう印象をコントロールすることが催眠術です。

普段人が意識していないような細かいことを意識できるようになることで、印象のコントロールの精度はより高まっていきます。

そうして意識出来るようになるためにはまずそうした人間の動きの知識を得ることが必要ですが、その後にはより自分の内側の感覚、感情に敏感である必要があります。
感覚、感情に敏感である状態。これがトランス状態です。

つまり、他人への印象のコントロールは、自分自身がより深いトランス状態(=催眠状態)に入り込むことで可能になります。
当日はこうした、かかることで、よりかける精度が増していくという体験もして頂きながら、技術を習得して頂きます。


そして、もう一つ。

催眠術がかけられても、日常的な価値はありません。催眠術を催眠にかけるという現象だけで捉えると、それはどこまでいっても宴会芸でしかありません。(もちろん、宴会芸としての催眠術はすぐに習得して頂けます。)

催眠術をかけることが出来るようになってから、かけることを放棄し、術に頼らなくなって初めて、それを自分自身の基礎的な能力とすることが出来ます。そのためにはやはり、催眠術を丁寧にかけられるだけの技術が必要になります。

そうしたことを念頭に置いて頂いた上で、催眠術のかけ方を学んで頂ければと思っています。
相手といかに合わせるか、そしていかに相手を誘導していくか、そのことをワークショップの中で存分に感じて頂いて、そして、相手を感じられるようになることで、コミュニケーション能力が飛躍的に上がることを体験して頂きたいと思っています。



【催眠術で何が出来るか】
催眠術で出来ることは単純に分ければ以下のようになります。

運動支配
筋肉が硬直したり、緩まったりする。

感覚支配
皮膚の感覚が敏感になったり、鈍感になったりする。
またある場所の感覚が別の場所に移る。(例:他人の手を触られているのに、自分の手が触られているような気がする)

味覚支配
味覚が変わる。(例:水がオレンジジュースの味がする。)

感情支配
何かを好きになったり、嫌いになったりする。

記憶支配
記憶を一時的に忘れる。

後催眠暗示
催眠から覚めたあと、与えられた暗示に反応してしまうようになる。
(例:「暑いね」と言われると必ず水を飲んでしまう。)

幻覚
現実にはないものが見える。
現実にあるものが見えなくなる。

時間が止まる
止まった時間の中での記憶を一切忘れてしまう。

【催眠術をかけるにあたって】
まず、催眠術をかけるにあたって難しいのは、運動支配にかかってもらうことです。一般的には運動支配にかかることが催眠術の入り口になります。

この入り口に入ってさえもらえれば、その後は被験者の催眠にかかる資質次第で色々なものにかかってもらうことが出来ます。

この入り口に入ってもらうためには「この人にだったらかけられても構わない」と被験者に思ってもらう必要があります。催眠術の上手さということを考えると、この部分が重要になります。

そのためには清潔感や声の質、距離感など、どの対人関係においても大切な要素が必要不可欠になります。
初対面の人に催眠術を抵抗なくかけるためには知識や特殊な技術ではなく、基本的な対人関係における感性が必要です。それらの積み重ねが、催眠術という一般的には不可思議に見える現象を起こしているに過ぎません。

【催眠術の仕組み】
人間には誰にも無意識と意識があると催眠術の世界では仮定しています。催眠術とは無意識に働きかけることで相手を誘導する術です。
それに反して、説教などは理屈などで相手の意識に働きかける方法です。これでは相手の自然な変化を促すことは出来ません。
無意識はコップ、意識はそのフタだと思って下さい。普段、無意識には意識のフタがされています。それがトランス状態に入ると、その深さによって意識のフタが開いていきます。

その意識のフタが開いた状態で、コップにイメージを入れるとそのイメージに人は反応します。それが催眠術です。

先にも書いた通り、まず運動支配をかけること=意識のフタをまず少し開くことが難しいです。
一度開いてしまえば、段々とそのフタは開きやすくなっていきます。
そうして、そのフタを徐々に開いて、徐々に深いトランス状態に入ってもらうことで、様々な暗示を与えていくことが可能になります。

ただし、そのフタを開くこと、そしてどれだけ開くことが出来るかは、その人の集中力や想像力、そして他人の言葉を受け容れることの出来る力に依存します。

あくまで目安ですが、
運動支配がかかるのは10人中7人。
感情支配がかかるのは10人中5人。
幻覚を見れるのは10人中、1人か2人だと言われています。

【フタの開け方】
フタの開け方にはいくつかのやり方があります。

驚かす
(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚のうち、どれか一つに)集中させる
リラックスさせる
身体をさする
気をそらせる
軽い瞑想をしてもらう

これらのやり方をそれぞれ、混ぜ合わせて使いながら、被験者のフタを開けるように持っていきます。


【トランスを深めるためには】
一度フタが開いて暗示が通るとトランス状態に入ります。
それからはそのトランス状態を深めていくことになります。
以下がその方法です。
特に、首を回す、何かに集中するは簡単に出来ます。
ワークショップの前にご自分でも試してみて下さい。

たくさんの暗示を次々に与える。

数字を逆から数えるなど、深めていく誘導をする。

首を回す。

催眠状態に入ってもらう、覚ます、入ってもらう、覚ますを繰り返す。

何かに集中する。
視覚、聴覚、感覚、何でもいいので一つのことに集中してもらうとトランスが深まっていく。

【人は同調してしまう生き物である】

催眠術をかける際、常にこの同調に意識を配ってもらいます。
こちらがオープンになれば、向こうもオープンになってくれます。
こちらがトランスに入れば、向こうもトランスに入ります。
こちらが暗示を丁寧にイメージした上で伝えれば、向こうもそのイメージを受け取ってくれます。

ただし、唐突にこちらのペースに相手が合わせてくれるわけではありません。
まず、ミラーリングして、相手に対してこちらが同調した上で、こちらが相手をつれていきたい方向に向かうことで、ペーシングが成立して、相手がこちらに同調してくれるようになります。

【同調なしで、技術だけでもかけることが出来る】
全く同調がないというわけではありませんが、技術だけでもかけることが出来ます。
実際、催眠術にかかることが出来ない人でも催眠術をかけることが出来ます。
技術と同調がうまく重なったとき、強力な催眠術になります。




【講座で出来るようになってもらうこと】

☆催眠術をかけるために、自分自身がトランス状態になる自己催眠をする
まずはじめに、瞬間的に自分自身をトランスに入れたり、そこから出たりすることを身体で学んで頂きます。
(もちろん、トランスに入る能力には個人差がありますので、必ずそれが出来なければいけないというわけではありません。そして、その日に出来なくても訓練すれば出来るようになりますので、ご安心下さい。)

☆運動支配
手にかける
腕にかける
両腕にかける
足にかける
喉にかける(話せない)

☆深化法(トランス状態を深める方法)

これより以下のものは運動支配と深化法がきちんと出来れば簡単に出来ます。

☆記憶支配
名前を忘れる
名前が別のものに変わる

☆感情支配
ものが好きになる
誰かの手が好きになる
誰かが好きになる
また別の誰かが好きになる


以上のことを学んで頂く中で、色々な細かい人間関係のテクニックもお伝えしていきます。
催眠術を学ぶことで、日々の生活の中で目にしたり、感じたりするものを、さらに繊細に見たり感じたりして頂けるようになってもらえればと思います。

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