2013年08月

2013年08月13日

横暴と呼ばれた銀行家の究極顧客対応の話

 ということで、今日は書くべきかどうか約一週間悩み続けた話を書きます。今までで一番書くのが難しい日記で、かなりの長文になるかもしれません。

 米国にロス・ペローという大富豪がいます。一代でアメリカンドリームを達成し、本気で大統領になろうとまでした男です。そんな彼が事業を継ぐ息子に対して送った手紙に、こんな一節があります。

「請求書がきたらすぐに支払いなさい。相手が零細企業ならなおさらだ。彼らには、今すぐお金が必要なのだ。」

 先週、私は無理やり時間を作って京都と大阪に行きました。観光旅行ではありません。友人に会うためです。

 私が会いに行った人の名前は、青木秀雄と言います。実兄でもある青木定雄氏とともに無一文で韓国から日本に渡り、一代でMKタクシーを作り上げ、この十年ほどは関西の大手金融機関・近畿産業信用組合(以下:きんさん)の会長と副会長をしておられました。

 お断りしておきますが、青木定雄会長と青木秀雄副会長が引き受けた当時のきんさんは「大手」でも何でもありませんでした。破綻した金融機関を救済し、十年で現在の規模に成長させたのです。

 そんなきんさんで五月にクーデターが発生し、会長と副会長は追放されました。関西と韓国では大ニュースになりましたが、関東ではそれほど大きな扱いではなかったので、見逃しておりました。先月になってネット上のニュースでこの一件を知り、大急ぎで青木秀雄さんに電話しました。そして「原稿がひと段落しそうな八月上旬に必ずうかがいます」と約束し、京都に行ってきたわけです。

 実は、私はきんさんから仕事をもらったことがあります。ですから、きんさんの仕事の進め方は人よりは知っていると思います。

 なんでも、会長・副会長の解任事由は、

「定雄、秀雄兄弟は代表権を有する会長、副会長の立場を利用し、従前から組織の意思決定プロセスを無視した独断、専横的な命令・指揮をもって物事を進めてきた事実がある」

 だそうですね。ここで、私が実際に体験したことをお話ししたいと思います。

 青木秀雄副会長から仕事の依頼を受け、見積もりを出してほしいと言われました。そこで私はいくつかの業者と連絡をとり、その結果を報告しました。

 私は金融機関とそれほど付き合いがあるわけではありませんが、普通なら稟議書やら、数々のハンコやらを集め、その上で会議のようなものを通すと思います。

 しかし、青木さんはそういったプロセスを全部省き、即日決定したうえで、当日に前金を入金してくださったのです。このありがたさは、独立した経験がある人にしかわからないでしょう。

 言うまでもなく、私は青木一族の一員ではありませんし、幸か不幸か100%純粋な日本人です。したがって俗にいう「在日特権」その他とも関係ありません。

 世の中には「プロ」と「アマ」がいます。そして同じプロの中にも「レッスンプロ」と「トーナメントプロ」がいます。私が今、何とかトーナメントプロとして食えるようになってきたのは、モウリーニョ監督のおかげであり、クリスティアーノ・ロナウドのおかげであり、そして間違いなく青木さんのおかげです。

 ですから、これだけは声を大にして申し上げますが、もし青木さんの振る舞いが「横暴」とか「組織の意思決定プロセスを無視した独断、専横的な命令・指揮」に見えたとするなら、それは中小・零細企業を救うためだったのです。

 私は四六時中きんさんにいたわけではありませんから、あちら側にも言い分はあると思います。ただ、あまりにも青木定雄会長と秀雄副会長の「功」を言う人がいないようなので、ここに記すことにしました。

 現在クリスチャンの青木秀雄さんは、毎朝教会の祈祷に通いつつ、肺がんその他を患ってきた健康回復に努めておられます。今後どうされるのかはわかりませんし、それは私が口を出すことではないでしょう。ただ、私が少しでも役立つのであれば必ず計算に入れてほしい、必ず京都に駆け付けます、と伝えておきました。

 我が恩人・青木秀雄は、これからも私の友人であり続けます。


chairmantaka at 16:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2013年08月12日

オスプレイに乗ったら、の話

 ということで、本日は私が実際に見た範囲でのオスプレイと沖縄の話をします。

 今年の一月ですが、某テレビ番組の通訳として初めて沖縄入りし、うわさの普天間基地に潜入することができました。その際に海兵隊の現役大尉やオスプレイのパイロットと面識ができ、つい先日雑誌のインタビューで再訪してきました。この取材の結果は来月発売のVOICEに載る予定です。

 一つだけ、常識で考えていただきたいことがあります。もしオスプレイが本当に「未亡人製造機」であるとするなら、一番怒るのは現場のパイロットではありませんか?事故が発生して真っ先に死亡するのは操縦している人、そして乗組員でしょう。

 そして、現代でも一人のパイロットを養成するために一体どれだけの時間とお金と労力をつぎこまなければならないか。それを考えると、「未亡人製造機」を米軍が配備するはずがありません。

 私は実際にオスプレイの機体に乗り込み、パイロットと会話し、大尉とも一時間以上のインタビューをしましたが、現場においてはオスプレイに対する反対や不安の声は一切ありませんでした。

 お断りしておきますが、普天間基地は住宅地のど真ん中にあり、私は今でも早急に閉鎖するべきだと思っており、この点は大尉にもはっきりと伝えました。今回の事件で沖縄の皆さんが怒るのは当然です。ただ、それで「未亡人製造機のオスプレイ反対」というのは論理が飛躍しすぎていると思います。

 沖縄の問題は非常に複雑であり、全員が満足する解はありません。それでも、日本の本土と地元の沖縄、そして米軍にとって少しでも納得がいく道筋を、微力ながら考え続けていく所存です。


chairmantaka at 15:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0)