2013年03月

2013年03月29日

有意義な改革の話

 ということで、今日は私が一推しする改革の一つの話をします。

 私はこれまで、お嬢様方を口説くときに「君の前ではいつもヒマだから」と言っておりました。そんな私がこんなことを言うのは本当にイヤなのですが、最近、マジで忙しいです。

 昨年五月からの一年弱でスペイン語翻訳書二冊、英語の翻訳書も二冊、現在も新しい本二冊の刊行に向けて動いており、その傍ら東京の全テレビ局からの依頼も受けているわけです。先日のことですが、午前11時に始まった仕事が、終わってみたら翌日午前8時でした。でも、フリーの身ですし、仕事の依頼があるうちが華だと思い、できるだけ断らないようにしております。

 何が言いたいのかというと、「大学受験にTOEFL」という案に、一人の専門家・プロとして私は大賛成なのです。

 何度でも繰り返しますが、日本人が英語ができない理由は一つしかありません。「単なる勉強時間不足で一千時間勉強していない」これだけです。要は、大多数の日本人は怠け者で不勉強なのです。ただでさえ不勉強なのに、間違った勉強しかしていないから、できるほうがおかしいのです。

 最近、TOEICを就職や昇進に使う会社が増えてきましたが、あれはあくまで「TOEFLで点がとれない日本人が甘いテストを作ってもらった」ものですからね。それが証拠に、日本以外でTOEICを受験する人はほとんどいません。聞き取りテストもゆっくりすぎて、実践の場では役に立たないのです。

 その点、TOEFLであれば「全北米の大学が入学基準に採用している」ものです。実際にあちらの大学当局の人と何度も話しましたが、「TOEFLはいいのに、大学の成績は悪い。こんなテストは参考にならない」というのは聞いたことがありません。

 だったら、「TOEFLを大学受験に使う」→「受験のために英語を勉強する」→「勉強した英語が実践で使える」となり、大いに有意義なことではないでしょうか。

 もしこの方針に反対だという英語教師がいるなら、実力がないということですから、クビにすべきです。私に言わせれば、英語ができないのに英語を教える教師は汚職をしているのと同じです。

 この改革を機に、少しは日本が開放された国になりますように。


 ■大学受験要件にTOEFL=学力向上で提言案―自民
 (時事通信社 - 03月28日 21:02)
 http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=2374660

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2013年03月08日

絶対に負けられないのに負けそうな戦いの話

 ということで、本日は「2020東京五輪」の話をします。

 昨日の私ですが、例によって夕方五時頃ある筋から「五時半にパレスホテルに行ってくれ」という指示が入り、そこでテレビ局の方と待ち合わせて五輪招致委員会の記者会見に潜入し、その後外国人記者に今回の感想をインタビューし、その後朝八時半までその映像に字幕を加え、編集作業に加わるという一日でした。

 結論から言います。このままだと、東京は絶対に負けます。

 以前私は2022年ワールドカップ招致の報道に携わり、カタールが勝って日本が負けた姿を見ているので、よくわかるのです。ご興味ある方は2010年12月4日付の私の日記をお読みください。

 常識で考えてください。こういう場面でIOCの評価委員会や外国人プレスが「こんなのクソだった。日本なんか絶対無理だ」などと口にするわけがありません。ですから、いかに社交辞令を並べられても、何の足しにもならないのです。

 実際に外国人記者に聞いてみると最初は日本のプレゼンを褒めてくれますが、掘り下げていくと段々本音が出てきました。その中で、特に私にとって痛かった指摘をいくつか書きます。

 ・今回のプレゼンターは都知事とかXX委員長とか、オリンピアンとか、「特別な人たち」ばかりではないか。この人たちの話が上手いのは当たり前で、何も響かない。なぜ、「何もないがスポーツが好きな一般人」を入れないのか。

 これに関しては、説明不要でしょう。

 ・日本の技術や施設が優れているのは誰でもわかっている。四年前にも十分揃っていた。だが、最終候補地に残るようなところ(マドリードとイスタンブールのこと)ならそれくらいはととのっているのだから、そこで差はつかない。 

 ちなみに言うと、カタールがW杯開催を手にした時点で、カタールには一つも試合用のスタジアムは完成していませんでした。

 それから、日本人は一般人も招致に携わる人も「テクノロジーが優れているのは日本の強み」と勘違いする傾向がありますが、考えてみればアカデミー主演女優賞が「演技力」だけで決まるなら、毎年メリル・ストリープがとってしまうでしょう。当然そこには話題性とか時代の流れとか、女優と出演映画との関係とか、色々な要素が絡んでくるわけです。ですから、あまりテクノロジーを過信しないほうがいいと思います。

 最後に、一番強烈な一発がありました。

 ・「なぜ、東京でなければいけないのか」この一番核心的な問いが会見中に二度も出たにもかかわらず、竹田会長は二度ともきちんと答えられなかった。日本は、本当に五輪を熱望しているのか。本気で五輪を呼びたいなら、IOC委員の心を動かし、否定しようがないほどの強烈な理由、素晴らしい物語が必要だ。

 1964年の東京には、間違いなく五輪は必要でした。私に言わせれば、日本でもたとえば「広島」や「仙台」ならこの「物語」があります。2022年のカタールにも、強烈な大義名分がありました。私の見るところ、2020年のイスタンブールとマドリードにもそれがあります。

 ここから大真面目な提案です。カタールは英語のみならずフランス語とスペイン語を織り交ぜた強烈なプレゼンテーションでワールドカップを手にしました。私なら、仕事柄英語とスペイン語の両方でプレゼンテーションができます。そして、毎日30分から1時間は必ず泳ぐ「市井のアスリート」でもあります。「大義名分」については、私に3分、そしてとある「意中の人」に2分ブエノスアイレスでいただければIOCを説得できる自信があります。

 せっかくなら、私も一東京都民として五輪を呼びたいと思っております。よろしければ、私をブエノスアイレスに連れて行きませんか?

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2013年03月07日

名演説家の話

  ということで、本日は三月六日の話をします。

 昨日は、私にとって特別な日です。
 今までの人生を振り返り、絶大な影響を受けた人物の一人である趙慶哲先生の命日だからです。もし趙先生についてご興味がある方は、昨年3月6日の日記をご覧ください。

 そして、昨日は例年と同じく趙先生を偲んでいたところ、一つの仕事が某テレビ局から入ってきました。「ベネズエラのチャベス大統領が亡くなったので、スペイン語の字幕を作って欲しい」という依頼でした。

 チャベス氏と言えば、実はちょうど一週間ほど前に真夜中三時に叩き起された思い出があります。「ベネズエラの大統領がガソリンを値上げするらしいので、彼の演説を一時間以内に訳して欲しい」という依頼が舞い込んできました。

 お断りしておきますが、こんなのは私にとっては日常茶飯事です。よくも悪くもテレビ業界は24時間動いており、夜中三時に通訳者をたたき起こしたり、二時に電話してきて「三十分以内に来てくれ」とかいうのが普通です。もう慣れてしまいましたので、同情はいりません。

 正直、「ガソリン」の一件で「このおっさんは、私でさえ知っている経済の基本を全く知らないのではないか。大丈夫かいな」と思いました。だって、「ガソリンの値段など、少々あげても中流階級や上流階級には痛くも痒くもない。貧困層は元々バスや電車で移動するのだから、誰も苦しまない」ですよ。思わず、「富裕層を懲らしめても、貧しき人を救うことはできない」という言葉を思い出してしまいました。

 で局に行ったわけですが、あちらの意向は「これまでの氏の演説を時系列で並べてみたい」ということでしたので、約二十年前の彼の演説から並べて順番に拝聴することになりました。数にして、ビデオ七・八本でしょうか。

 でね、これが上手いんですよ。賛成できる部分は何一つないのですが、仕事を忘れて思わず聞き惚れてしまううまさです。私でさえわかる名演説ですから、母国語のベネズエラ人庶民が熱狂するのもわかります。私が知る限り、スペイン語圏であれほどの演説ができる政治家といえば、私の恩人でもあるチリのピ二ェラ大統領くらいしか思いつきません。キューバのフィデルも上手ではありますが、彼の場合は長すぎます。炎天下で六時間ぶっ続けでしゃべり続け、熱射病で倒れた人が続出したということを考えると、演説に関してはチャベス氏のほうが上かもしれません。

 何がともあれ、ベネズエラの皆様には心からの哀悼を申し上げます。そして、もし今後スペイン語を勉強されるのであれば、チャベス氏の演説を見本にするのも良いかもしれません。


 ベネズエラのチャベス大統領がんで死去、後任は副大統領が有力
 http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&from=diary&id=2347301

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2013年03月04日

移民の子と田舎者の話

 ということで、今日は悔しいけれども面白いと認めざるをえない本の話をします。

 http://tinyurl.com/cdbvoby

 著者のズラタン・イブラヒモヴィッチ(以下ズラタン)については、今さら説明の必要はないでしょう。私が翻訳したクリスティアーノ・ロナウドなどと共に全世界に知られる有数のストライカーです。

 ズラタンはスウェーデンで旧ユーゴスラヴィアから移民してきた両親のもとに生まれるわけですが、色々と苦労を重ねてきたようです。私のスウェーデン人の友人(女性)に聞きましたが、彼の出身地は「ガラが悪いこと」で有名な地域だそうです。なんでも彼女のご主人は同じ街の出身とのことですが、「お互いの交流は一切なく、行ったこともない」らしいです。

 そんな中で、私が一番共感したのがズラタンがスウェーデンからオランダに移籍した時の話です。

 なんでも、スウェーデン時代の上層部が彼に「代理人は泥棒だ」と言い聞かせ、勝手に移籍の話を進めたわけですが、実はチームで一番安い年俸でズラタンを売り飛ばし、騙していたのです。

 「あいつは第二の父親のような顔をして、移民の息子で無知なオレを騙していた」と言いますが、私にはこの気持ちが痛いほどわかります。なぜなら、私も全く同じ経験をしているからです。

 かつて私が初めての翻訳書を出版しようとした時に、自称出版社「さんが出版」社長の古川千勝という男が近づいてきました。少し白髪交じりで、私に父親がいればこれくらいだろうという年頃でした。ちなみに、「古川千勝」が本名なのかどうかは、わかりません。

 途中経過を全部省くと、この古川は私を詐欺のカモにして「着手金」という名目で三十万円を騙しとり、しかもまだ二十代半ばだった私のお客様まで騙して百万円を掠め取っていました。

 今でも思いますが、もし私が東京出身できちんとした父親がいる人間であれば、古川が私を狙うことはなかったでしょう。私が岡山の田舎者で、世の中の仕組みを知らないと見抜いたからこそ、古川は私を騙したのです。

 あれから六年経ちますが、私は執念深いので、今も古川を許していません。そして、こうしてわざわざ実名を晒すのには理由があります。私のあとも古川は全く同じセールストークを用いて別の人を騙そうとしていたからです。

 幸い、ズラタンも私も少しは賢くなり、もう騙されることはなくなりました。これまでにも友人から出版に関して似たような相談を受け、詐欺寸前に食い止めたことがありますが、そういう話があったら私のところに相談に来てください。

 ちなみに、ズラタンの目から見たモウリーニョは、やっぱり魅力的な男みたいですよ。

chairmantaka at 12:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)