2010年12月

2010年12月31日

チェスと将棋で圧勝の話

 今日で2010年は終わりますが、昨日は私にとって歯の矯正が完了した日の次に佳き日となりました。

 年末恒例行事として、私はチェスを指しに行きます。前にもブログで取り上げた所司先生が主催しておられる「世界の将棋大会」に参加するのです。

 私のオフィスを訪れた方には、必ず一通りチェスのルールを説明し、痛い目にあってもらうことにしておりますが、やはり張り合いが足りません。その点、この大会であれば同好の士が集まっておりますので、心置きなく勝負に集中できるわけです。

 この大会の目玉として、ジャック・ピノーというフランス人のプロチェスプレイヤーが「目隠し六面指し」で稽古をつけてくださるのですが、私も六面指しに挑戦しました。
 
 お断りしておきますが、チェスにせよ、将棋にせよ、プロの凄みは体験した人にしかわかりません。あちらは目隠しをしたまま六人と同時に対戦しても、まだ勝てるのです。

 ところが・・・なぜか私はこのピノー先生にチェスで勝ってしまったのです。

 昨年一回もチェック(王手)すらかけさせてもらえず惨敗した身なので、勝てるなど夢にも思っておりませんでした。志はこの上もなく低く(多少ヘンな日本語になっておりますが)、「一度でもチェックがかけられて」「六人のうち最初に負けなければ」それで満足でした。

 絶対にあちらがどこかで緩めて下さったからなのですが、勝ちは勝ちです。今朝はこのときの棋譜を並べなおし、にやにやし続けております。

 また、特別ゲストとして森内俊之先生もおられました。この方のことを知らない人がまだこの世にいること自体が私には信じられませんが、江戸時代から続く18世永世名人です。日本で将棋をしたことがある数千万人の頂点に立つのが「名人」で、その名人を五年以上保持した人のみが名乗れるのが「永世名人」です。

 当たり前の話ですが、将棋の「名人」は歌舞伎その他と違い、世襲は一切ありません。実力のみが問われる世界の頂点なのです。あの羽生名人よりも先に永世名人になった方、といえば将棋を知らない方にも少しは偉大さが伝わるのではないでしょうか。

 私が将棋をさしたのは三年ぶりくらいでしたが、信じられないことに、私は森内さんに将棋でも勝ってしまったのです。しかも、平手です。一度でも将棋を指したことがある方には、この気持ちがお分かりいただけるでしょう。
 どうだ、見たか!




 ・・・なお、私が勝ったのは現在四歳の「ジュニア」のほうです。時々、銀を後ろに引いておりました。それでも、「森内」さんに勝ったことにはかわりありません。

 少しは、人生の厳しさを教えてあげられたかな・・・?


 ということで、いい思いをさせていただいた所司先生、ピノー先生、そして勝ったくせに手順を覚えていなかった私のために棋譜を教えてくださった森内先生(もちろんこちらは本物のほう)、ありがとうございました。

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2010年12月21日

冤罪の話

 これまで私は書籍や映画、あるいはニュースなどで何度か「冤罪」を目にすることがありました。しかし、身近に発生することはありませんでした。

 実は私の友人の一人が今、冤罪で苦しんでいます。

 同年代の起業家仲間なのですが、部下の女性が香港に旅行したときに、ヤクの運び屋にされてしまい、成田空港で逮捕されてしまったのです。

 私はハードドラッグの経験がないのでよくわかりませんが、たとえば彼女が0.6グラムとか、1.5グラムとかを所持していたのであれば、「ああ、自分で使うつもりだったのね」ということになると思うのです。

 しかし、彼女が持っていた、いや持たされていたのは3キロ以上でした。一体、末端価格でいくらになるんでしょうね。そんなもの、どう考えても誰かにだまされて持たされたに決まっています。

 常識で考えればわかりそうなものですが、世の中には常識が通じない人もいるのです。

 心苦しいのは、彼女には高校生のお子さんが二人おられるのです。私と同じ、母子家庭なんですね。不幸中の幸いか、彼女のご両親が健在だったので、そこで暮らしているそうです。

 私の祖父母は早くに亡くなっていますから、もし自分の母親がこんなことに巻き込まれたら・・・と考えただけでぞっとします。

 もしあなたの周りで世の中に影響を及ぼせそうな人がいるなら、ぜひ知らせてあげてください。私または彼本人から詳細を説明します。

  私も、できる限りのことをしていきます。

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2010年12月16日

贅沢な竜王戦の話

  おとといの23:30に、例によって某テレビ局に呼ばれ、仕事が終わったのは午後一時半、うちに戻ると三時前になっておりました。
 仕事が終わったので気持ちよい一風呂を浴びたわけですが、そういえば昨日は将棋の竜王戦だったのですね。

 六連覇中の渡辺竜王に、羽生名人が挑戦するという七番勝負だったわけですが、間違いなく現在の将棋界最強の人物を決める組み合わせだと思います。

 実は、私はある縁からこの渡辺竜王の師匠を存じ上げております。マイミクにもおられる所司和晴先生です。所司先生のご活躍は将棋のみにとどまらず、つい先日行われたアジア大会では中国象棋(シャンチー)の日本代表でもあります。またネットや草の根レベルでの将棋普及に対する貢献は広く知られております。

 そんな所司先生が、昨日風呂上りにFacebookをあけるとオンラインでおられました。しばらくすると所司先生と私のチャットが始まり、竜王戦を観戦することになりました。

 私の趣味はチェスですが、いつまでたっても強くならず、将棋は十級にひっかかるかどうかというレベルでしょう。そんな私ですが、盤面を見ながらいつしか「この手はどうですか」とおそれげもなく検討を始めることにあいなりました。

 所司先生は、本当に優しい方です。最弱の人間が、最高峰の将棋と向かい合うわけですから、もちろん対局者の考えていることなどさっぱりわかりません。プロの目から見たら、あほらしすぎて相手にしてられないような手でも、所司先生から丁寧に解説していただきました。ど素人の特徴の一つとして、「やたら桂馬を跳ねたがる」というのがあると思うのですが、私も例外ではありませんでした。
 あまりにあほらしい桂馬跳ねにまでお付き合いいただき、本当に恐縮しております。

 竜王戦は、渡辺竜王の防衛、七連覇達成という結果に終わりましたが、考えてみれば竜王戦のライブで竜王の師匠に一対一で解説していただく、というのは将棋ファンにとって一番贅沢な一日だったと思います。

 ということで、貴重な経験をご提供いただいた所司先生、あらためてありがとうございました。

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2010年12月13日

全然関係ありませんが

 年末も近づいてきたので、近くガレージセールを開こうかと考えております。

 うちのオフィスで悩みの種になっているのが、書籍です。

 もしこの日記をお読みの方で、「この分野の本がほしい」とご希望があればお知らせください。在庫リストと希望販売価格をお知らせいたします。

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もう一人のヤンキースの名監督の話

 この週末に読んだ本で、いい意味で期待を裏切られた本があるので紹介します。

 http://tinyurl.com/265vcfk

 本日は、野球に興味がない方には一切面白くありませんので、ご了承ください。

 この本は、三回監督になって三回クビになったダメ監督ジョー・トーリ氏がヤンキースで歴史に残る名将となった姿を描いた本です。あのトーリ監督を「ダメ監督」とは失礼この上ない話だと私も思いますが、それが事実なのです。

 これは私の持論ですが、一人前の選手になるのには五年かかりますが、一人前の監督になるには十年かかります。監督になるほうが、はるかに難しいのだと思います。

 トーリ監督が就任するまで、ヤンキースは15年以上ワールドシリーズに出場することすらできませんでした。観客動員もMLB全体で真ん中くらい、つまり全然さえないチームだったわけです。

 ところがトーリ氏が就任したとたん、一年目にワールドシリーズ制覇、そして三年目から三連覇を果たすわけです。

 当たり前の話ですが、勝つチームはメンバーをいじる必要がありません。ですから、それぞれの団結はさらに深まり、経験も加味されてさらに強くなります。そこにいついかなる時でもチームをまとめられるリーダー―彼の名前は、デレク・ジーターですが―が一人いれば、敵なしの状態になれます。

 その後ヤンキースは、毎年プレーオフには駒を進めるものの、ワールドシリーズ制覇には一歩届かない時期が長年続きます。

 最初この本について聞いたとき、私はてっきりまるまる一冊トーリ監督が一人称で過去を振り返った本だと思っていました。しかし実際に読んでみると、共著者のスポーツ記者がほかのヤンキースの選手や、ライバルチームのレッドソックスやアスレチックス、インディアンスの視点もふんだんに盛り込んだ非常に視野が広い本でした。いい意味で、期待を裏切られましたね。

 しみじみ思いましたが、野球はやっぱりピッチャーなんですね。どんなに大砲をそろえても、打線は水物なのです。たとえ史上最高のバッターでも、不振に陥ることもあれば、チームの雰囲気を悪くすることもあるのです。誰のことかは、読んでのお楽しみですが、結構実名で厳しいことを書いていたりします。

 少しでも野球に興味がある方には、必読ですよ。

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2010年12月08日

「NASA関連のインタビュー」の話

 先日お話したとおり、ワールドカップ開催地決定に際してテレビ局にいた私ですが、ありがたいことに次の日にも同じ局からお声がかかりました。「商人は、必ず二回以上お金をもらわなければならない」という私の信条が実現できているということで、大変嬉しく思います。

 一つだけ残念だったのは、その電話をいただいたのがデートの真っ最中だったんですよね。忘れもしない、金曜日の午前11:45でした。

「すみません、NASA関連のインタビューの仕事が入ってきているので、13時にXXテレビ局にいっていただけますか?」

 「はあ、お仕事の話はありたいんですが、せめて13:30局入りにしていただけませんか?」

 結局、相手には平謝りに謝り、許してもらいました。相手のほうから、「どっちみち、私も次の約束があって12:30には出なきゃいけなかったから」と言っていただいたのが、唯一の救いでした。

 それにしてもですよ、「NASA関連のインタビュー」ということは、当然宇宙飛行士とか、科学者とかのインタビューだと思うのが普通でしょう。専門用語も心配でしたが、そのときの服装はデートを前提に、下はジーンズ、上はジャケットは羽織っていたものの、胸にバラをさし、当然ネクタイはしめておりませんでした。時間的に、事務所に戻る時間もありませんから、そのまま行くしかありません。

 ・・・で、13時半に局について説明を聞くと、確かに仕事は「NASA関連」でした。なんでも、NASAがリンを必要としない新種の生物を発見し、これは地球外生命体の存在の可能性を高める大ニュースだとのことです。確かに大ニュースだと思うのですが、私の任務はというと・・・

 「浅草に行って、外国人のおのぼりさんに”あなたは宇宙人はいると思いますか?”と聞き、想像する宇宙人の絵を描いてもらう」

 でした。つまり、服装も、専門用語も、一切心配する必要がありませんでした。というか、局の皆さんはみなカジュアルな格好で、「あら、ジャケットも着られて正装されているのですね」と感心されてしまいました。

 あの日の浅草は寒かったので、ジャケットを着ていて正解でした。

 今日の教訓:
「いつ急な仕事が入っても、デート先から直行できるように、必ずジャケットだけは着ておこう」

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2010年12月06日

ヤンキースの名監督の話

 この件について、コメントすべきかどうか結構迷いましたが・・・
 私の友人で、某有名週刊誌の編集をしている男がいます。彼とは一ヶ月か二ヶ月に一度くらいのペースでランチしながら情報交換する間柄なのですが、まあこの一件については言いたい放題でしたね。

 私は言うまでもなく、海老蔵氏とは一面識も、縁もゆかりもないので何も言うことはありません。報道も、どこまで本当かよくわかりませんしね。

 ただ、昔ヤンキースにケーシー・ステンゲルという名監督がいました。どれくらいの名将かというと、ヤンキースの監督時代12年でリーグ優勝10回、ワールドシリーズ制覇7回という実績が全てを物語っているでしょう。私が知る限り、これに匹敵するのはV9の川上監督と、西武黄金時代の森監督くらいではないでしょうか。

 それだけの名将ですから、色々な名言を残しております。その中で、今回の一件にぴったりなものを一つ紹介します。

 「セックスをするのは、何の問題もない。相手を求めて一晩中さまよい歩くのが問題なのだ。」


海老蔵の特番中止、33歳の誕生日に…
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1429377&media_id=30

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2010年12月04日

国辱の話

 本来なら前橋の話をあと二回ほど書くはずですが、それより大切な話があるので、書きます。

 ここ数日、色々なテレビ局から声をかけていただき、昼夜関係なく缶詰になっておりました。その中で例のワールドカップ関連の仕事もあったわけです。

 投票前日に呼ばれた私は、午後1時半から翌日朝7時半までかけて'22年の立候補国によるプレゼンテーションをすべて見て、あわせてFIFAの各候補地のレポートをすべて読みました。

 勝敗は兵家の常、負けるのは別にかまわないのですが、今回の日本はあまりにもひどすぎました。あそこまでいくと、国辱です。カタールが勝ったのはあまりにも当然です。プレゼンテーションの時点で、他を圧倒していました。

 何がすごかったのか、私が言える範囲でお話したいと思います。

 まず、カタールの第一号のプレゼンターは、いきなりフランス語で話し始めました。それまで全ての国の代表、そして司会者も会長も英語で話していたのに、大丈夫かと他人事ながら心配しました。

 しかし、カタールにとってはフランス語自体が作戦だったのです。

 どこの国にも、必ず弱みがあります。韓国なら、「本当に北と平和的にやれるのか」でしょうし、オーストラリアなら、「ヨーロッパから遠すぎる。そして国が大きすぎる」でしょう。カタールなら、「暑すぎる」「小さすぎる」「社会が閉鎖的過ぎる」などでしょうね。

 FIFAは、マルチリンガルの集まりです。理事会でも全員が英語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・ドイツ語くらいは話せる前提で、一瞬のうちに言語を切り替えながらそのまま会議を続ける集団です。つまり、カタール代表はフランス語によって「うちは西洋とうまくやれる、開かれた国です」と訴えているのです。

 それに対して日本は・・・もう言う気力もありません。りおちゃんがいくら可愛くても、しゃべりがうまくても、関係ありません。FIFAの理事に、日本語は通用しません。りおちゃんが悪いのではありません。八歳の女の子を利用した日本の誘致委員会のせこさが、私には許せないのです。

 次に出てきたミルティノビッチ監督は、スペイン語で話し始めました。もう理由はおわかりでしょう。そして、「カタールの暑さは、もはや関係ない。空調完備で、いつでも27度で試合ができる」と訴えたわけです。

 さらに圧巻だったのが、次のスピーカーでした。カタール人だと思いますが、前半はスペイン語で、後半は英語に切り替えて、さらにたたみかけるのです。「このスタジアムは、W杯が終わったら一度解体して、発展途上国に寄付します。」かっこよすぎます。余談ですが、カタール代表のスペイン語は、スペイン語圏の一般庶民よりもはるかに正確で、洗練されたものでした。

 日本も、こういうときこそオシム監督と中田ヒデを出さなければだめでしょう。それでオシム監督がフランス語で、ヒデがイタリア語かスペイン語で話せば、全然違っていたはずです。もっと言うと、どうせソニーがらみなら、ストリンガー氏ではなく、大賀さんを出さないとダメです。あちらからすれば、「ソニーを赤字にしたのは誰だ?」という話になります。それから政府代表もきていましたが、「保証する、保証するって、オマエのところの首相はあと何ヶ月もつんだ?」と聞かれたら、答えようがないではありませんか。

 次にカタール代表で、イラク人の無名の若者が出てきました。彼の英語は、必ずしもプロのものではありません。しかし、訥々と「自分は戦争で父を失い、イラクでは殺し合いが続いている。でも、アジア大会でイラク代表が優勝して、初めてあれだけいがみあっていたイラク人同士が一つになれた。サッカーには、どんな政治家にもできなかった偉業を達成する力がある。今度は、中東全体をサッカーで一つにするチャンスを与えてほしい。」これは響きました。

 その一方で、日本のビデオに芸者が出てきたとき、私は吐き気を催しました。これは、私が世界中で最も嫌う似非東洋趣味(オリエンタリズム)そのものです。

 カタールは、FIFAの疑問に全て答えを出しました。日本は、FIFAの理事たちの問いかけに何一つ答えず、八歳の女の子と芸者に頼ろうとしました。卑劣、卑怯、姑息です。

 非常に厳しい言葉を続けることになってしまいましたが、私は今でも「2050年までに日本単独開催、そして優勝」を信じています。だからこそ、私もいつか力になることを、そして誘致委員会が猛省して、今度こそ雪辱を果たしてくれることを熱望しております。


W杯開催地落選 日本の敗因は
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1427679&media_id=2

chairmantaka at 05:40|PermalinkComments(1)TrackBack(0)