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【社会】

沖縄・基地の街、増える秘密 福島・自己規制広がる 秘密法案強行採決

特定秘密保護法案に抗議する沖縄平和運動センターの山城博治さん=5日、東京・永田町の参院議員会館前で(上條憲也撮影)

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 「秘密がこれ以上増えれば、私たちの暮らしはどうなるのか」。参院の特別委員会で五日に強行採決された特定秘密保護法案に対し、多くの米軍基地を抱える沖縄や、原発事故で復興もままならぬ福島の人々から不安の声が上がる。数の力でのごり押しがまかり通る国会審議を、怒りと失望で見つめる。 (飯田孝幸、上條憲也)

 「こんなばかな法案を通してはいけない」。反基地運動を主導してきた沖縄平和運動センター(那覇市)議長の山城博治(ひろじ)さん(61)は五日夜、強行採決に抗議する人々が集まった参院議員会館前でマイクを握り、怒りをぶちまけた。抗議の声を国会に届けようと、前日から上京していた。

 沖縄では安全が不安視されるオスプレイが上空を飛び交う。「抗議して写真を撮れば『防衛機密だ』とされ、ゲート前に座れば『テロ活動だ』と言われることになる」と懸念する。

 元那覇市職員の真栄里泰山(まえざとたいざん)さん(69)は衆参両院での法案審議をテレビでずっと見守った。「秘密保護法によって、基地に囲まれた沖縄で、これからどんなことが起こるのか。私だけでなく、皆が心配している」。適正に秘密指定されるのか、公文書の保管はどうなるのか、そもそも現状以上に秘密管理を強化する必要があるのか。「審議を見てもさっぱり分からなかった」

 「地方公聴会やパブリックコメントで出された国民の声に耳を傾けず、担当大臣の答弁はくるくる変わる。こんな法案がどこにあるんだ。党首討論を見ていても、出される疑問に『今後やりましょう』というばかり。後はみんな任せてくれってことか。ナチスの全権委任法を思い出させる」と憤る。

     ◇

 福島県浪江町から同県本宮市に避難している橘柳子(りゅうこ)さん(74)は「失望したとしかいいようがない」と声を落とす。「多勢にものを言わせた与党のやり方は何なのか。日本は民主主義国家なのだろうか」。仮設住宅で国会中継を見ると「気力がなくなってしまう」と視聴を避けていた。

 原発の情報が十分に伝わらない現状に不満を抱える。特定秘密保護法について「怖い。国民に目を向けてない法律だ。国民を守るためにある憲法を変えるための過程じゃないのか」と感じる。

 戦時中だった子どものころ、目にしたのは密告社会だった。「秘密保護法で暗い社会になってしまう。自己規制がどんどん広がる」と不安が募る。

 

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