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民主自爆でケリ 秘密保護法ついに成立

 安倍晋三首相(59)が、何が何でも成立を目指してきた特定秘密保護法が、6日深夜の参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。徹底抗戦を宣言していたはずの民主党が途中で退席、その後戻ったが主張の機会も放棄した。最後は民主党の腰砕け作戦ミスというオチで、幕が閉じた。法案は、国民の「知る権利」の侵害が指摘される。政権復帰後、封印してきた「鬼門」の強行採決カードを乱発してまで成立を急いだ首相。国民の視線は、厳しさを増しそうだ。

 午後11時25分、法案は賛成130、反対82で可決、成立した。5日の、与党による参院安全保障特別委員会での強行採決から31時間あまり。野党が「反対」を叫ぶ中、参院本会議でも与党が採決を強行した。

 当初、採決は7日にずれ込む見通しもあったが、徹底抗戦を明言していた民主党が、土壇場で迷走した。委員長報告が始まったとたん、「ダメだこんなの」と、輿石東副議長を残して全議員が退席。同じく反対の共産党や社民党も「とうてい理解できない」とこき下ろす、謎の行動だった。

 党幹部によると、ともに退席した日本維新の会、みんなの党との「野党共闘」を優先したが、直後の議員総会で「議場で反対したい」の声が噴出。意思統一がはかられておらず、あわてて議場に戻ったが、後の祭りだった。反対票は投じたものの「作戦ミスだ」とヤジが飛んだ。

 民主党は、これに先立ち、安倍内閣不信任決議案での対応でも野党への連絡が遅れ、日本維新の会の協力取り付けに失敗。時間稼ぎも可能な記名投票に必要な人数を確保できず、起立採決であっさり否決された。

 民主党の腰砕けぶりに助けられる形で、安倍首相は当初目指した会期内の成立にこぎつけた。外国、特に日米同盟を重視する首相は、国内で起きてきた情報漏えいを懸念。外国から情報を得るには漏えい防止の法律を制定する必要があると判断。「国民を守るための法案だ」と強調してきた。

 しかし、何が「特定秘密」に指定されたか分かりにくく、政府に都合が悪い情報が隠蔽(いんぺい)される恐れがある法案。国民の「知る権利」侵害の恐れも指摘される。海外からも、成立させないよう求める声が出た法案を、約40日のスピード審議。衆参委員会で、これまで封印してきた強行採決を繰り出し、「法案成立ありき」の姿勢全開。聞く耳を持たず、成立へ「暴走」した。

 自民党の小泉進次郎復興政務官は「民主党政権と違って、今は『決める政治』に批判がある。なぜこの法案を決めたのか、説明責任が求められる。与党になり自民党におごりがみえれば、国民にそっぽを向かれる」と、懸念を示した。「丁寧路線」から色彩が一変した安倍カラーのもと、国民の生活は本当に守られるのだろうか。【中山知子】

 [2013年12月7日9時16分 紙面から]

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