臨時国会が会期末を迎えた。特定秘密保護法案をめぐる与野党の攻防が激化している。
国民の「知る権利」侵害などの懸念が強い法案を、与党は衆院に続き参院特別委員会でも採決強行に踏み切った。野党の反対を押し切っての地方公聴会開催や、野党常任委員長の解任など目に余る強引さだ。
今国会は7月の参院選で与党が圧勝し、衆参の「ねじれ」を解消して初めての本格論戦だった。政治的に安定したことで国民は「決められない政治」からの脱却を期待した。しかし、現れたのは自民、公明両党の「数による強行政治」である。猛省を求めたい。
安倍晋三首相は今国会を「成長戦略実行国会」と名付けたが、50日余の論戦を振り返れば、国家安全保障会議(日本版NSC)創設関連法が成立するなど、「安保・秘密保護国会」との印象である。
機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案は審議を重ねるほど、法案の問題点が浮き彫りになった。国民の多くも慎重審議を求めている。その懸念に応える丁寧な説明が不可欠なはずだが、安倍政権は今国会成立に向けて数の力で押さえ込んだ。巨大与党のおごりにほかならない。
法案の審議では、国会が国権の最高機関であり、唯一の立法機関であることを示す機会であると同時に、内閣に対して現在と将来にわたってチェック能力を持ち得るかどうかが問われた。
だが、残念ながらそのことを自覚し、役割を十分果たしたとはいえない。担当閣僚の答弁が二転三転したにもかかわらず、与党は成立ありきで突き進んだ。地方公聴会や参考人質疑で問題点を指摘されても、条文の再修正はなされなかった。
秘密指定の妥当性をチェックする第三者機関について、政府は参院特別委の採決直前になって複数の機関やポスト新設を次々と表明した。しかし、それぞれの機能や役割分担は不透明で、むしろ法案の欠陥をあぶり出したのではないか。
野党の対応もほめられたものではない。最終盤で野党7党が法案の強行採決阻止で共闘したものの、日本維新の会とみんなの党は衆院審議の段階で与党との修正協議に早々と合意した。与党の分断策に翻弄(ほんろう)された格好だ。
「『決める政治』によって国民の負託にしっかりと応えていこう」。安倍首相は今国会の所信表明演説で語った。国民置き去りの国会運営では、政治不信が高まるだけである。
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