秘密保護法:審議わずか68時間…拙速ぶりは明らか

毎日新聞 2013年12月07日 11時42分(最終更新 12月07日 13時02分)

 6日に成立した特定秘密保護法は、11月7日の衆院審議入りから衆参両院の審議時間は計約68時間で、近年の小泉政権や第1次安倍政権、民主党政権の重要法案に比べて半分以下と極端に短い。安倍政権が実質53日と短い臨時国会での成立にこだわったためだ。国民の権利侵害の懸念を、与党が「数の論理」で押し切る強引さが際立った。

 「中川雅治特別委員長は質問者がまだ着席していない委員席に向かい『質問を続けてください』と言い続けた」。秘密保護法を審議した参院国家安全保障特別委員会の野党委員は6日夜の参院本会議で、「審議時間稼ぎ」をした与党の国会運営を相次いで非難。みんなの党の小野次郎氏は、怒号の中で強行された5日の参院特別委の採決が、速記録に「発言する者多く、聴取不能」と記されたと指摘した。

 秘密保護法の審議時間は衆院約46時間、参院約22時間。与党は衆院で野党の慎重審議要求をはねのけ11月26日に強行採決した。与党と日本維新の会、みんなが合意した修正法案の審議はわずか2時間だった。

 近年の重要法案では、小泉政権の郵政民営化関連法(2005年)が、自民党内の反対でいったん廃案となり、衆院解散・総選挙を挟んだ2回の国会で計約191時間審議。強行採決を連発して支持率低迷を招いた第1次安倍政権の改正教育基本法(06年)も計約189時間。民主党の野田政権が昨年成立させた税と社会保障の一体改革法では、党内の反対や自民、公明両党との3党協議を踏まえて計約215時間審議していた。今回の拙速ぶりは明白だ。【光田宗義、高本耕太】

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