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   甲状腺検査評価/信頼性を上げ不安に答えよ(11月30日付)

 東京電力福島第1原発事故を受け県が設置した県民健康管理調査検討委員会の甲状腺検査評価部会は27日の初会合で、来年8月をめどに甲状腺検査結果についての評価を示す方針を決めた。

 原発事故による放射線の健康への影響に対する県民の懸念はぬぐい切れず、特に子どもたちへの不安は根強い。これまでの検査で甲状腺がんと診断された症例が、原発事故と関係しているのかどうかという因果関係をしっかりと検証すると同時に、長期的な影響がないのかという県民の疑問に答えるよう、客観的で正確な評価を明らかにしてもらいたい。

 一般的に放射性ヨウ素が体内に取り込まれると甲状腺がんのリスクが高まり、小さな子どもほど影響を受けやすいことが分かっている。

 甲状腺検査は県の県民健康管理調査の一環として行われ、事故当時18歳以下が対象。2011〜13年度の先行調査の対象は約37万人。9月30日現在までの検査で26人が甲状腺がんと診断された。

 検査が進むにつれてがんと診断される症例が増えているが、検討委や福島医大は原発事故との関連性には否定的な見解を示している。

 事故から4〜5年後に小児の甲状腺がんが多く確認されたチェルノブイリ原発事故と比較し、経過年数が短いことや被ばく線量の推計値が低いこと、一般的な甲状腺がんと同様に年齢が上がるほど増える傾向にあるなどの理由を挙げているが、これほど大規模な検査は世界的に例がない。検査結果の評価には、統計的な傾向なのかも含め、個別の症例ごとに詳しく評価する必要がある。

 検査の評価に対しては、県民から信頼を得なければならない。甲状腺や疫学の専門家や外部有識者らで構成された評価部会は、検査の実施主体である福島医大から独立した第三者機関との位置付けで設置された。福島医大の検査方法や見解が適切なものなのかについても客観的に検証することが求められる。

 県と福島医大は、14年度から本格検査に入る。事故当時18歳以下とした先行調査の対象者に、事故直後から1年の間に生まれた子どもを新たに加える。14年度に双葉郡や避難区域がある市町村、空間放射線量が比較的高い県北を中心とした25市町村から始め、15年度にはいわき市や県南、会津の34市町村で実施する。

 本格検査では20歳になるまでは2年ごと、それ以降は5年ごとの検査になる。長期にわたる検査の実効性を上げるためにも県民から信頼される検査でなければならない。

 検査の基となる県民健康管理調査の問診票の回答率が2割台にとどまっているのが現状で、評価部会には県民の不安解消と同時に信頼性向上のための多角的な議論と積極的な情報公開も求められる。

 
   
 

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