5回、ピーターソン(左)を右で攻める村田諒太=両国国技館で(沢田将人撮影)
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◇プロ第2戦
ロンドン五輪ボクシングミドル級金メダリストで日本、東洋太平洋同級1位の村田諒太(27)=三迫=が、デーブ・ピーターソン(27)=米国=に8回1分20秒、TKO勝ち。来年2月に中国・マカオで予定される海外進出につなげた。だが、その一方で無名ボクサーにてこずり、課題も残した。八重樫東(30)=大橋=は判定勝ちでWBC世界フライ級王座2度目の防衛に成功。東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦は怪物井上尚弥(20)=大橋=が5回にTKO勝ちし、来春予定の次戦では世界挑戦が決定的となった。
村田流の照れ隠しだったか。試合後、リングサイドに陣取る応援団に「アイム・ソーリー」と小声でわびた。勝利者インタビューでも「不細工な試合をして、スミマセン」と頭を下げた。
家具配達を本職とし、1年半も試合をしていない無名のボクサーにてこずった。動きが硬かった。左ジャブは出せず、ガードを固めてひたすら前に出る、アマ時代の強引なスタイルに逆戻りしていた。
ガードの上からとはいえ、不用意にパンチを受けすぎた。4回には顔が横に向くほどまともに右フックを浴び、一瞬ボーッとするシーンも。中盤以降、左ジャブを使い始めてペースをつかんだ。そして8回、連打でダウンを奪い、さらに立ち上がってきたところでパンチをまとめてレフェリーがストップ。世界に通用する右のストレートは誰もが認めるが、この日は単発。そこに至るまでの過程がもどかしかった。
記者会見に現れた村田の顔は、両目が赤くはれ上がって傷だらけ。「デビュー戦で良い勝ち方して、今度も、と期待され、プレッシャーになっていたのか。硬かった。右が当たっても、横に流され、ガン、ストンという感じだった。パンチをまともに食らった時も、これがゴロフキン(ミドル級最強のWBAミドル級王者)ならKOされているなと思った。でも、毎回毎回良い経験じゃ、どうしようもない。今日みたいな試合をしてるようじゃ、ボクが勝ってきた相手に失礼」と反省の弁。
来年2月には、大物プロモーターのボブ・アラ厶氏のプロモートでマカオでのプロ第3戦が内定。来秋にはシンガポール進出計画も着々進行中だ。「アラムにどう報告する?」の質問に「アイム・ソーリー。アイ・ディドント・ドゥ・ウエル。ネクスト・マカオでは頑張ります」と英語と日本語のチャンポンで答えた。課題と輝きの両方が見えた2戦目。世界最激戦区の中量級で頂点へ、いばらの道はまだまだ続く。 (竹下陽二)
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