タイで長期化する反政府デモが外交面に影を落とし始めた。タイ政府は6日、国内対応に専念するためインラック首相が日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議に合わせて予定していた訪日を中止すると発表した。同日未明にはデモ隊拠点で銃撃と爆発により負傷者が発生。デモ隊指導者は政府施設へのデモ行進を再開すると予告している。
13日から東京で開かれる特別首脳会議は日本とASEANの交流開始40周年を記念するもので、安倍晋三首相とASEAN10カ国の全首脳が参加予定だった。インラック首相は12~15日に訪日予定だったが、全日程をキャンセルした。
日本政府との間で、新幹線導入も検討するタイの高速鉄道計画や、タイがミャンマー南東部で計画する「ダウェー経済特区」開発への日本政府参画など重要案件を協議する見通しだった。
インラック首相は8日から予定していたロシア訪問も延期。来週からミャンマーで始まる東南アジアのスポーツ大会「SEAゲームズ」の開会式参加も見送った。
首相の相次ぐ外遊中止は、タイ政府の外交が「機能不全」に陥っている状況を映す。デモが長引けば年明け以降の外交日程も組めなくなり、海外との経済協力などに影響が広がる恐れもある。
懸念とは裏腹に、現政権派と反政府派の衝突が激化する兆しは高まっている。6日未明、反政府デモ隊が占拠する財務省でデモ隊の男性が銃撃されて負傷したほか、小型爆発物によって2人が負傷する事件が起きた。
現時点で背景や犯人は不明。警察はデモ隊の安全を守るために占拠地の警備を申し出た。5日にプミポン国王が誕生日を迎え、国中に漂っていた「一時休戦」のムードも吹き飛んだ形だ。
デモ隊指導者のステープ元副首相は6日夜、週明け9日に首相府に向けて大規模なデモ行進を行うと宣言し、「これが最後の戦いだ」と支持者らに集結を呼びかけた。
一方、現政権派の政治団体、反独裁民主統一戦線(UDD)も10日に中部アユタヤ県で大規模集会を開くと発表した。反政府派との衝突を避けるため開催地をバンコクから遠ざけたが、偶発的な衝突が起きる恐れもはらんでいる。
カギを握る軍の動向も焦点となる。陸・海・空軍の司令官は6日、現在の政情について協議。「今後も協議を続けて平和的解決の方法を探る」としている。(バンコク=伊藤学)
安倍晋三、ASEAN、反政府デモ、タイ政府
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