来年1月24日で任期満了となるNHKの松本正之会長(69)が5日の定例会見で、「やるべきことはやった。1期3年の中で一定の役割は果たした」と述べ、続投せず今期限りで退任する意向を示した。政財界には松本体制での改革スピードの遅さや番組の偏向をめぐって批判があり、先の国会同意人事で会長任命権を持つ経営委員会に安倍晋三首相に近い委員4人が新たに任命。松本氏の進退が注目されていた。
退任理由について松本氏は「もともと就任時に1期3年のつもりで受けている」と説明。昨年10月に受信料を月額最大120円値下げし、減収が予想されたが、堅調な業績を確保したことに触れて「一番重いところは乗り越え次に進める状況になったのではないか」と述べた。浜田健一郎経営委員長にはすでに続投しない考えを伝えたという。
JR東海副会長だった松本氏は2011年1月、福地茂雄前会長の後任としてNHK会長に転身。受信料値下げを初めて盛り込んだ中期経営計画を策定し、今年上半期には過去最高の受信契約数を達成。職員の基本賃金を5年間で10%引き下げる給与制度改革にも着手していた。