日本版NSC:初会合…識別圏、北朝鮮情勢など対応協議
毎日新聞 2013年12月04日 20時20分(最終更新 12月04日 23時50分)
政府は4日、安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)の初会合を首相官邸で開いた。中核となる「4者会合」として、安倍晋三首相と岸田文雄外相、小野寺五典防衛相、菅義偉官房長官が出席。中国が沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海に設けた防空識別圏や、北朝鮮の張成沢国防副委員長が失脚したとの情報などについて対応を協議した。麻生太郎副総理と礒崎陽輔首相補佐官も同席した。
NSCの4者会合などを巡っては、衆参両院の国家安全保障特別委員会で議事録作成の検討を求める付帯決議が採択されている。しかし、特定秘密保護法案が規定した「特定秘密」にあたる機密情報を扱う可能性もあり、政府は議事録作成に消極的。NSCでの意思決定の過程が将来、検証できない懸念も残っている。
これに先立ち、政府は4日、自民党の外交部会などの会合で、新たに策定する「国家安全保障戦略」の概要を示した。中国の設けた防空識別圏について「力による現状変更の試み」と位置づけ、「冷静かつ毅然(きぜん)として対応」すると明記。武器輸出三原則に関しては「適切な輸出管理をしつつ、あり方を検討」と見直し方針を盛り込んでいる。
戦略の有効期間は「おおむね10年程度」で、日本の掲げてきた▽平和国家▽専守防衛▽軍事大国にならない▽非核三原則−−の基本理念を堅持。安全保障環境の変化として、中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発などを挙げ、沖縄など米軍基地の負担軽減の必要性も強調した。戦略は国家安全保障会議の議論を経て、年内に閣議決定する。【朝日弘行、青木純】