秘密保護法案:首相6日の採決強調 海江田氏「情報隠し」

毎日新聞 2013年12月04日 23時38分

 安倍晋三首相(自民党総裁)と民主党の海江田万里代表らによる今国会初の党首討論が4日、開かれた。国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案について、首相は6日の今臨時国会会期末までに参院で可決・成立させる意向を表明。一方、海江田氏は「官僚による、官僚のための、官僚の情報隠しの法案だ」と批判した。参院国家安全保障特別委員会は4日夜の理事懇談会で、採決の前提となる法案質疑を5日に行うことを中川雅治委員長(自民)の職権で決め、与野党の攻防が激しさを増している。【高本耕太、影山哲也、水脇友輔】

 ◇野党、慎重審議一致…党首討論

 首相は党首討論で、保護法案の採決について「議論は丁寧に進め、どこかの段階で終局させなければならない」と述べ、今国会での法案成立に意欲を示した。秘密指定・解除の状況などをチェックする機関として、事務次官級でつくる「保全監視委員会」(仮称)を内閣官房に新設する方針を表明。秘密指定の基準作りに関わる「情報保全諮問会議」(仮称)と、秘密指定された公文書の廃棄の可否を判断する「独立公文書管理監」(審議官級)も設ける考えを示した。

 これに対し、海江田氏は「チェック機能を果たすには、役人の手から離れた機関でないといけない。保全監視委員会は官僚で組織している。この法律は欠格製品だ」と痛烈に批判した。その上で「会期末の6日までに、何が何でも仕上げてしまうというのは無理がある」と慎重審議を求めた。

 一方、みんなの党の渡辺喜美代表は党首討論で、自民党の石破茂幹事長が法案に抗議する市民デモをテロに例えたことについて「大失言だ」と非難。法案自体には賛成する考えを重ねて示しながらも、「いいかげんな国会運営なら、手続きに反対せざるを得なくなる。強権的な国会であってはならない。国会会期を延長すべきだ」と会期延長を求めた。日本維新の会の石原慎太郎共同代表は「時代に必要な法律だ」と理解を示した。

 特定秘密保護法案を巡り、野党7党は政府・与党に対し、慎重審議を求める姿勢で足並みをそろえた。同法案に関する参院審議時間はこれまで約20時間で、40時間を超えた衆院の半分程度にすぎない。参院の審議時間は衆院の7割程度が目安になっており、野党7党は4日、東京都内で共同の街頭演説会を開き、審議不足とともに、法案の採決強行阻止を訴えた。

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