秘密保護法案:首相「強行」譲らず…5日、参院委採決

毎日新聞 2013年12月05日 07時00分(最終更新 12月05日 13時23分)

党首討論で民主党の海江田万里代表(左)の質問に答える安倍晋三首相(右)=国会内で2013年12月4日午後3時7分、梅村直承撮影
党首討論で民主党の海江田万里代表(左)の質問に答える安倍晋三首相(右)=国会内で2013年12月4日午後3時7分、梅村直承撮影

 政府・与党は4日、国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案について、5日午後の参院国家安全保障特別委員会の審議終了後に採決に踏み切る方針を固めた。同特別委は4日夜の理事懇談会で、採決の前提として、法案質疑を5日に行う日程を中川雅治委員長(自民)の職権で決定。与党内には6日の臨時国会会期末を控え、5日中に参院本会議を開き、法案の成立を目指す動きも出ており、与野党の攻防が緊迫してきた。【高本耕太、影山哲也、水脇友輔】

 安倍晋三首相(自民党総裁)は4日、今国会初となる民主党の海江田万里代表らとの党首討論に臨んだ。首相は特定秘密保護法案の採決について「議論は丁寧に進め、どこかの段階で終局させなければならない」と述べ、今国会成立に重ねて意欲を示した。

 首相は秘密指定・解除の状況をチェックする機関として、事務次官級でつくる「保全監視委員会」(仮称)を内閣官房に新設する方針を表明。秘密指定の基準作りに関わる「情報保全諮問会議」(仮称)と、秘密指定された公文書の廃棄の可否を判断する「独立公文書管理監」(審議官級)を設ける考えも示した。

 これに対し、海江田氏は「チェック機能を果たすには、役人の手から離れた機関でないといけない。保全監視委員会は官僚で組織している。官僚による、官僚のための、官僚の情報隠しの法案だ」と批判した。その上で「会期末の6日までに、何が何でも仕上げてしまうのは無理がある」と慎重審議を求めた。

 一方、みんなの党の渡辺喜美代表は党首討論で、自民党の石破茂幹事長が法案に抗議する市民デモをテロに例えたことについて「大失言だ」と非難。法案自体には賛成する考えを重ねて示しながらも、「いいかげんな国会運営なら、手続きに反対せざるを得なくなる。国会会期を延長すべきだ」と会期延長を求めた。日本維新の会の石原慎太郎共同代表は「時代に必要な法律だ」と理解を示した。

 特定秘密保護法案を巡り、野党7党は政府・与党に対し、慎重審議を求める姿勢で足並みをそろえた。同法案に関する参院審議時間はこれまで約20時間で、40時間を超えた衆院の半分程度にすぎない。参院の審議時間は衆院の7割程度が目安になっており、野党7党は4日、東京都内で共同の街頭演説会を開き、審議不足とともに、法案の採決強行阻止を訴えた。

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