秘密保護法案:与党側「内閣府に情報保全監察組織を新設」

毎日新聞 2013年12月05日 12時00分(最終更新 12月05日 14時17分)

記者の呼びかけに応えながら首相官邸に入る安倍晋三首相=2013年12月5日午前9時40分、西本勝撮影
記者の呼びかけに応えながら首相官邸に入る安倍晋三首相=2013年12月5日午前9時40分、西本勝撮影

 ◇5日中に本会議成立目指す動きも

 国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案は5日午後、参院国家安全保障特別委員会で審議が始まった。自民、公明両党は質疑後、野党が反対しても同特別委で採決する方針。与党側は日本維新の会とみんなの党に対し、特定秘密の指定などを監視する新たな機関を内閣府に設置する案を提示し、法案成立への協力を要請。5日中に参院本会議で同法案を可決・成立させることも視野に入れている。民主党などは慎重審議を求めて徹底抗戦の構えで、与野党の攻防は緊迫の度合いを増している。

 自民、公明、維新、みんなの4党は5日午前、実務者レベルで協議。与党側は安倍晋三首相が4日の審議で秘密指定・解除の状況をチェックする機関として内閣官房に新設を表明した「保全監視委員会」(仮称)とは別に、同法案成立後に内閣府に情報保全監察に関する機関を政令で新設する案を提示した。維新が「保全監視委員会は独立した新たな機関ではない」などと反発したことに配慮した。

 与党案によると、内閣府に設置する新機関は(1)秘密指定や解除の適否を検証・監察し、不適切なものについては是正を求める(2)特定秘密の有効期間の設定・延長の適否を監察し不適切なものについては是正を求める(3)秘密が記録された公文書の管理を検証・監察し、不適切なものは是正する(4)秘密が記録された公文書の廃棄の可否を判断する−−などが主な役割。また「今後の高度の独立性の高い機関への移行についても内閣府設置法等の改正の検討を進める」とも明記し、内閣府の外局などへ昇格させる可能性を示した。

 菅義偉官房長官は5日午前の記者会見で、与党提案の新機関について「内閣府(に設置)というのは全く抵抗がない」と述べ、政府としても容認できるとの考えを表明。「実務者の皆さんでまとまればいい」と維新、みんな両党の協力に期待感を示した。

 一方、維新は同特別委での政府側答弁を見極めたうえで、法案への対応を決める方針。橋下徹共同代表(大阪市長)は5日、特定秘密保護法案について「こんな状況で法案を成立させるのはやり過ぎだ」と批判。市役所で報道陣に語った。橋下氏は「法案は必要だ」としながら「ここまで与野党の議論がかみあってないと、議論が終結する状況になってない。機は熟していない」と述べた。

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