12月5日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ユーロ上昇、対ドル5週ぶり高値ーECB追加緩和見送り
ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで上昇、5週間ぶりの高値を付けた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が追加の金融緩和策の導入を見送ったことが買いを誘った。
ユーロは主要16通貨全てに対して上昇。ECBは政策金利を据え置き、中銀預金金利をマイナスにすることは示唆しなかった。マイナス金利はリスク資産に資金を向かわせる可能性がある。ポンドは対ユーロで3日続落。イングランド銀行(英中銀)は政策金利を過去最低水準で据え置いた。ブルームバーグの調査によると、6日発表の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は18万5000人増と予想されている。
ソシエテ・ジェネラルのグローバルストラテジスト、キット・ジャックス氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「この日起こったことで、対ドルでユーロを押し下げるようなものは何もなかった。そうなるには6日の米雇用統計でかなり大幅な増加が見られるか、あるいはそれに似たような指標が米国から発表されるかだ。変化をもたらすにはそれしかない」と指摘した。
ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロは対ドルで前日比0.5%高の1ユーロ=1.3667ドル。一時は1.3677ドルと10月31日以来の高値を付けた。対円ではほぼ変わらずの1ユーロ=139円12銭。一時は0.7%下げた。ドルは対円で0.6%安の1ドル=101円79銭。
JPモルガン・チェースのG7ボラティリティ指数は8.81%と、10月10日以来の高水準となった。10月28日には7.55%まで低下していた。
ECBドラギ総裁は記者会見で、下限金利の中銀預金金利を現行ゼロからマイナスに引き下げる準備は技術的に整っているとしながらも、「短く議論した」だけにとどまったことを明らかにした。
ECB経済予測スタッフは今年の経済成長率をマイナス0.4%、2014年について1.1%成長、15年1.5%成長と予想。インフレ率については今年1.4%、14年1.1%、15年1.3%とそれぞれ予想した。
UBSのシニア為替ストラテジスト、ジェフリー・ユー氏は「ドラギ総裁はインフレ見通しに対するリスクは全般にバランスが取れていると述べた。これは当局が対応する必要がないことを意味する。その結果、ユーロは上昇した」と語った。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重指数によれば、ユーロは年初から7.8%高と上昇率首位。ドルは3.6%上昇、円は13.2%安となっている。
ポンドオズボーン英財務相は5日、下院での秋季予算方針演説で経済成長見通しを引き上げると同時に、借り入れ予想を下方修正した。ポンドは対ドルで0.3%安の1ポンド=1.6333ドル。
7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値は前期比3.6%増と速報値から上方修正された。
労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は29万8000件と、前週の32万1000件(速報値31万6000件)から2万3000件減少した。6日発表の失業率は7.2%と、9月の水準に並ぶと予想されている。実際にそうなれば、2008年以来の低水準となる。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの主任為替ストラテジスト、ニック・ベネンブローク氏(ニューヨーク在勤)は電子メールで、「米経済指標が良好なことを考えると、ドルのパフォーマンスは比較的抑制されている。市場参加者は6日の雇用統計とその金融政策への影響の方がもっと重大だと捉えていると当社はみている」と指摘した。
原題:Euro Rises to 5-Week High as ECB Refrains From FurtherStimulus(抜粋)
◎米国株:5日続落、経済指標の改善で緩和縮小の時期早まるとの見方
米株式相場は5営業日続落。S&P500種株価指数は2週間ぶり安値に下げた。経済指標の改善を受け、金融当局が予想より早く債券購入の縮小を開始するとの見方が強まった。
マイクロソフトが安い。フォード・モーターの取締役はアラン・ムラリー最高経営責任者(CEO)がマイクロソフトの次期CEOに就かないことを示唆した。食品スーパーのセーフウェイも下落。ジャナ・パートナーズが保有株比率を引き下げた。JCペニーは大幅安。ヘッジファンドマネジャーのJ・カイル・バス氏は、保有するJCペニー株の売却を明らかにした。
S&P500種 株価指数は前日比0.4%安の1785.03。ダウ工業株30種平均は68.26ドル(0.4%)下げて15821.51ドル。
フェデレーテッド・インベスターズ(ニューヨーク州ロチェスター)のポートフォリオマネジャー、マシュー・コーフラー氏は「きょうの経済指標は量的緩和縮小への道を開いた」とし、「短期的に懸念はあるが、金融当局が緩和縮小を開始し、究極のマーケットメーカーという立場から抜け出すことで、長期的には前向きと考えられる」と述べた。
S&P500種は今年に入り25%上昇し、このままいけば年間上昇率はここ10年で最大となる。
経済指標7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)改定値は前期比3.6%増と、速報値(2.8%増)から上方修正された。在庫が1998年1-3月(第1四半期)以来で最大の伸びとなったことが影響した。
先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は29万8000件に減少。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は32万件だった。
6日発表の11月の雇用統計では、失業率は7.2%への低下が見込まれている。
アトランタ連銀総裁アトランタ連銀のロックハート総裁は、連邦公開市場委員会(FOMC)が月850億ドルの債券購入の縮小を検討する際、購入プログラムの最終的な規模を限定するか、あるいは終了までの時間的枠組みを示すべきだと述べた。
総裁は講演で、「FOMCが資産購入の縮小を決定する際、実施方法をできるだけ確実にしておくことが移行プロセスに役立つと考えている」と話した。
FOMCは今月17-18日に政策決定会合を開催する。ブルームバーグが8日に32人のエコノミストを対象に実施した調査では、来年3月18ー19日に開催される会合で債券購入規模が現在の850億ドルから700億ドルに縮小されるとの予想が示された。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は2.6%上げて15.08と、6週間ぶり高水準。同指数は8営業日連続で上昇している。
S&P500種の業種別10指数は全て下落。特に通信サービス株が1%安と最も下げた。
マイクロソフトは2.4%安の38ドル。ダウ平均で値下がり率トップとなった。フォードの創業者のひ孫で現在取締役のエドセル・フォード氏は、ムラリーCEOが14年末までは退社しないと明らかにした。
JCペニーは8.4%安の8.85ドル。バス氏のヘイマン・キャピタル・マネジメントは、同氏が保有するJCペニー株を売却したことを明らかにした。
セーフウェイは4.6%下げて32.64ドル。
原題:U.S. Stocks Drop a 5th Day as Economic Data Fuel StimulusBets(抜粋)
◎米国債:10年債利回りは9月以来の高水準に、緩和縮小観測強まる
5日の米国債市場は10年債利回りが11週間ぶりの高水準をつけた。朝方発表された7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値が速報値から上方修正されたほか、週間新規失業保険申請件数が減少したことから、米金融当局は今月にも債券購入のペースを減速させる可能性があるとの見方が強まった。
この日の国債は続落。労働省は6日、11月の雇用統計を発表する。市場予想では雇用増が見込まれている。米連邦公開市場委員会(FOMC)は17-18日に会合を開く。
RWプレスプリッチの政府債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は、「景気は改善しているようだ。経済統計はならしてみて予想を上回っている」と述べ、「恐らく緩和策の縮小が近づいているのだろう。それが米国債の相場に圧力をかけている」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して2.87%。一時は9月18日以来で最高となる2.88%に達した。同年債(表面利率2.75%、2023年11月償還)価格は10/32下げて98 30/32。
5年債利回りは4bp上昇して1.49%。9月23日以来の高水準となった。30年債利回りは3.92%と、2週ぶり高水準に上昇した場面もあった。
来週の入札予定メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE)指数は76.1と、10月11日以来の高水準に上昇した。11月18日には58.31と、6カ月ぶりの低水準を付けていた。
米財務省は来週、3回にわたって計640億ドル相当の入札を実施する。内訳は3年債が300億ドル、10年債が210億ドル、30年債が130億ドルとなっている。
ブルームバーグがまとめた予想によると、11月の米雇用統計は18万5000人の雇用増が見込まれている。失業率は7.2%と、2008年以来の低水準が予想されている。給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートが前日発表した給与名簿に基づく集計調査によると、11月の米民間部門の雇用者数は前月比21万5000人増加した。これは最も強気なエコノミスト予想を上回る伸びだった。
ニューヨーク連銀はこの日、償還期限2039年11月から2043年8月までの国債16億ドルを購入した。
グロース氏の見解米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏は、前例のない規模の金融緩和で株式や債券の価格は本来の水準を超えて押し上げられているとの見方を示した。
同氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「債券や株、代替資産と、あらゆる資産の価格は基本的に適正ではなく、人為的に押し上げられている」と指摘。「金融当局はそのことを認識しており、できる限りそうした影響を小さくしたいと考えていると思われる。政策の転換において当局が実施するのは、経済に効果が見られ、可能であれば2014年末までに終了させる水準にまで量的緩和を縮小することだ」と続けた。
米商務省が発表した7-9月のGDP改定値は前期比3.6%増と、速報値(2.8%増)から上方修正された。先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は29万8000件と、前週から2万3000件減少した。
原題:Treasury Yields Reach Highest Since September Amid Bets onFed(抜粋)
◎NY金:反落、米経済指標受け緩和縮小への警戒強まる
ニューヨーク金先物相場は反落し、過去4日間では3日目の下げとなった。米国の経済指標を受けて、金融当局が緩和縮小を開始するとの警戒が強まった。7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値は前期比3.6%増と、速報値(2.8%増)から上方修正。先週の米新規失業保険申請件数は前週比で予想外に減少し、約2カ月ぶりの低水準となった。
RJオブライアン・アンド・アソシエーツ(シカゴ)のシニア商品ブローカー、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、「米経済は正しい軌道にあり、緩和縮小は明らかに現実味を増している」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物2月限は前日比1.2%安の1オンス=1231.90ドルで終了。一時は2.5%下げる場面もあった。
原題:Gold Declines Third Time in Four Days on Fed TaperSpeculation(抜粋)
◎NY原油:続伸、米経済成長を好感-ブレントとの価格差縮小
ニューヨーク原油先物相場は5日続伸。米経済成長率が上方修正されたほか、需給がタイトになったことから上昇し、北海ブレント原油に対するディスカウントは2週間ぶりの小幅に縮小した。
エネルギー・コンサルタント会社、プレステージ・エコノミクス(テキサス州オースティン)のジェイソン・シェンカー社長は「米経済成長の加速は原油需要にとって非常に明るい材料だ」と指摘。「製油量の拡大と原油在庫の取り崩しで、ブレントとのスプレッドは縮小に向かう」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物2014年1月限は前日比18セント(0.19%)高の1バレル=97.38ドルで終了した。終値としては10月29日以来の高値。
原題:WTI-Brent Spread Shrinks to Tightest in Two Weeks on U.S.Growth(抜粋)
◎欧州株:5日続落、5カ月で最長の下げ局面-ECB総裁は慎重姿勢
5日の欧州株式相場は下落し、指標のストックス欧州600指数はここ5カ月で最長の5営業日続落となった。政策金利を過去最低に据え置いた欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、景気の先行きに慎重な姿勢を崩さなかった。
デンマークの鉱業機械メーカー、FLスミスは1.9%下落。利益率見通しの引き下げが売り材料。オーストリアの保険会社ウィーン・インシュアランス・グループは5.2%安。投資家による229万株の売却が響いた。ドイツの医薬・化学品メーカーであるメルクが買収で合意したルクセンブルクのAZエレクトロニック・マテリアルズは、2010年10月の新規株式公開(IPO)以来の大幅高。同社を約16億ポンド(約2680億円)の現金で買収するメルクは4.9%上昇。
ストックス欧州600指数 は前日比0.9%安の314.41で終了。世界の主要中央銀行による低金利政策継続を支えに、年初来では12%上げている。
ミラボー・セキュリティーズ(ジュネーブ)のバイスプレジデント、ジョン・プラサード氏は「中銀の政策がさらにはっきりとし、緩和縮小開始時期の一段の手掛かりを示す経済データが米国でさらに出てくるまで、投資家はあまりリスクを取らないだろう」とし、「投資家は先回りして考えるため、年末に向かってボラティリティは多少高まり、市場も少し神経質になるだろう」と付け加えた。
米労働省は6日、11月の雇用統計を発表する。次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)は今月17-18日に開催。毎月850億ドルの債券購入策に変更があるかどうかが注目されている。
原題:European Stocks Drop, Posting Longest Losing Streak in 5Months(抜粋)
◎欧州債:ユーロ圏の国債下落、ECB総裁は早急な追加措置示唆せず
5日の欧州債市場ではユーロ参加国の国債相場が軒並み下落。欧州中央銀行(ECB)はこの日、域内の2014年成長率見通しを上方修正し、ドラギ総裁からは追加刺激策を直ちに講じる示唆はなかった。
ドイツ10年債利回りは約7週間ぶり高水準に上昇。この日発表の7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値が前期比3.6%増と、速報値(2.8%増)から上方修正され、安全資産としての国債需要を減退させた。主要政策金利を過去最低の0.25%に据え置いたECBは、ユーロ圏成長率が今年マイナス0.4%となった後、来年はプラス1.1%に回復すると予想。イタリア10年債利回りは2カ月ぶり大幅上昇、スペイン債利回りは10月以来の高水準に達した。
ラボバンク・インターナショナルの債券ストラテジスト、リン・グレアムテーラー氏(ロンドン在勤)は「ドラギ総裁の会見冒頭のコメントは中期的に一段の政策行動をとる余地を残したが、差し迫った行動は示唆していない」と指摘。「それで中核国の国債が売られている」と説明した。
ロンドン時間午後4時46分現在、ドイツ10年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して1.86%。一時は1.87%と、10月18日以来の高水準を付けた。同国債(表面利率2%、2023年8月償還)の価格は0.4下げて101.23。2年債利回りは4bp上昇の0.20%。
ECBは先月、予想外の利下げに踏み切った。この日示された最新の成長率予測は今年が従来見通しから変わらず、来年はこれまでの1%予想から引き上げられた。ドラギ総裁はこの日、下限金利の中銀預金金利を現行ゼロからマイナスに引き下げる準備は技術的に整っているが、この点については同日の会合でほんの短く話しただけだと強調した。
スペイン10年債利回りは7bp上昇の4.25%。10月21日以来の高水準となる4.28%に達する場面もあった。イタリア10年債利回りは8bp上昇の4.24%。
英10年債利回りはほぼ変わらずの2.91%。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格は94.42。
原題:European Bonds Slump as Draghi Signals No Further Rate-CutPlans(抜粋)原題:Pound Falls Most in 9 Months Versus Euro; Gilts OutperformBunds(抜粋)
更新日時: 2013/12/06 07:45 JST