原爆症:認定基準を緩和へ…がん以外の4疾病 厚労省
毎日新聞 2013年12月05日 07時03分
厚生労働省は4日、心筋梗塞(こうそく)などがん以外の4疾病を原爆症と認定する際の基準を緩和する方向で検討に入った。認定制度の見直しを議論してきた同省検討会が同日まとめた最終報告書に「これまでの認定範囲を狭めない」と明記されたことから、基準緩和が必要と判断した。年内に具体的な新基準を決める方針。
現行基準では、爆心地から約3.5キロ以内で被爆した▽原爆投下から約100時間以内に約2キロ以内に入った−−ような場合は、がんや白血病など7疾病を積極的に原爆症に認定している。一方で、このうち心筋梗塞、甲状腺機能低下症、慢性肝炎・肝硬変、白内障の4疾病については、「放射線の影響が原因」とされたケースしか認定していない。
被爆者団体によると、がんは2012年度の申請者1547人のうち74%が原爆症と認定されたが、4疾病は計259人中11%にとどまった。4疾病は被爆地点と爆心地の距離が1.3〜2キロ超だと申請が却下されているうえ、原爆投下後の立ち入りでは一切認められない傾向があるという。厚労省は、4疾病の認定要件を距離などの数値で明確化し、緩和する方針。投下後に立ち入った被爆者からの申請を認めるかどうかも検討する。
この日まとまった検討会の最終報告書は、制度の抜本的見直しを求める被爆者団体の意見と、現行制度の修正を求める他の委員の「多数意見」が併記された。4疾病の認定基準についても、がんと同様の基準での認定を求める団体側の意見と、同等の扱いは不適当とする他の意見が併記される一方で、最終的に「認定範囲を狭めない」との文言が追加で盛り込まれた。【桐野耕一、吉村周平】