「北京は現在、超厳戒態勢なんですよ」
こう語るのは、北京に滞在中のジャーナリスト・近藤大介氏だ。
「大通りには約100メートルごとに、地下鉄の駅には角ごとに5~6人の銃を持った武装警官が立ち、常に目を光らせています。天安門広場に近づこうものなら、全身をまさぐられ、尻の穴までチェックされますよ」
さらに、インターネットは約2週間前から使用できず、商店の棚からナイフはもちろん、鉛筆削りまで撤去されているという。それもそのはず、11月8日から14日まで、北京では第18回中国共産党大会が開催されていたのだ。
「5年に一度行なわれるこの大会は、今後5年間の中国指導部を構成する新しい中央委員などを選出する一大イベントです。特に今回は、胡錦濤国家主席から、習近平氏へと党の権力が移譲されることから世界中の注目を集めており、中国政府も、このタイミングでの暴動は、なんとしても抑え込みたいでしょう」(全国紙国際部記者)
しかし、その厳重警備もむなしく、天安門広場に陳情書を持った直訴者が現われたとの報道が出ている。
「ほかにも、チベット自治区では"チベット独立"と叫び、7人が焼身自殺。これを受け、青海省で1万人以上の学生らが当局に抗議を行ないました」(前同)
このように、中国人民の共産党への不満は溜まりに溜まっているのだ。
中国当局が「群体性事件」と呼ぶ"抗議活動"の発生件数は11年には年間20万件にのぼり、この10年で約4倍になっている。
「ただ、あくまで当局の発表。実際はそれ以上、年間30万件以上起こっていると思います」(前出・近藤氏)
では、"大暴動血みどろナマ現場"で何が起きているのか――。昨年9月から12月にかけて、広東省の烏坎村では5000人以上の農民が暴徒化した。
「原因は村を支配する村党支部書記ら一族による土地の強制収用。この一族は村の農地を取り上げ、そこに高級マンションを建設し、高値で売り飛ばそうとしていたんです。立ち退きさせられる農民への補償はわずか550元(約6600円)だったため、農民の怒りが爆発し、暴動が起きました」(全国紙北京特派員)
暴動当初には、逮捕された農民たちのリーダー格の5人のうち、1人が急死。
「現地政府は"心臓疾患"と発表しましたが、戻ってきた遺体の指の爪は何枚も剥がされ、歯はボロボロに折れ、複数個所が骨折。農民たちは政府の拷問によって死亡したとし、さらに暴動は激化しました」(前同)
農民と警官の衝突も何度も起き、現場では催涙弾が農民を直撃。…