ヤフーニュースには、フェイスブックを使ってコメントを入れることも可能だ。投稿内容が反映されれば、フェイスブックに登録した氏名や勤務先、所属する学校名といったプロフィルが表示される。氏名をクリックするとフェイスブック本体のページに飛び、家族構成や交友関係といった詳しい「個人情報」があらわになる。見る人が見れば「本人特定」されるかもしれない。
こうした「リスク」があるにもかかわらず、例えば近年関係が悪化している中国や韓国に関するニュースには相手国を口汚くののしるコメントが散見される。もちろん偽名を使っているユーザーもいるだろう。だが、普段は家族や食べ物の写真を載せているような人がいきなり「だから韓国は大嫌いだ」などと、豹変したかのように過激に怒りを爆発させているケースもある。
実名制が「罵倒コメント」のヘビーユーザーに拍車かけた?
Tehuさんはこうした事態に「面食らった」という。フェイスブック上で、実名を出しているユーザー同士が罵倒し合っているのもたまに見かけるそうだ。似たような事例はツイッターでも起きている。著名人同士でもあり、池田信夫氏が竹田恒泰氏の発言について「この自称皇族は頭がおかしい」と書き込み、これに竹田氏が「名誉毀損に該当します」と応じてしばらくやり合った。
実名公開は過激発言の書き込みの抑止力にはならない、という説もある。米オンラインITメディア「Tech Crunch」2012年7月29日付の記事によると、2007年に韓国で、利用者10万人以上のウェブサイトすべてに実名使用を強制したが、悪意のあるコメントはほとんど減少せず、効果なしとして撤回されたという。また米カーネギーメロン大学の2人の研究員が、実名制度と罵倒コメントの関係を分析したところ、実名制は1、2件程度しかコメントを書かないユーザーには防止作用が働いたが、11~16件以上投稿するようなヘビーユーザーは一向にひるまず、むしろ書き込みは増えてしまった。
問題なのは匿名性ではなく、「キーボードという、口を通じない発言手段」なのかもしれないとTehuさんは考える。そこで、対立している相手が直接会って議論をすることが必要だと提案する。「理想」への第一歩になり得るだろうか。