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【緊急発刊・特定秘密保護法の本当の問題】香山リカの第一診察室 vol.10
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【緊急発刊・特定秘密保護法の本当の問題】香山リカの第一診察室 vol.10

2013-11-26 19:03
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【特定秘密保護法の本当の問題】
 香山リカの第一診察室  vol.10     
2013/11/26
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 どうぞお入りください、お待たせしました。
 ココロのおかげんはいかがですか…?

~ニコニコ生放送~
 

 月刊「創」篠田博之編集長が今​年を振り返る【香山リカ医院】
   12月16日(月) 午後8時~
   「黒子のバスケ」脅迫騒動、秘密保護法…
   月刊「創」篠田博之編集長と香山リカが、2013年を振り返ります。
   http://live.nicovideo.jp/gate/lv160505181

   

【ババだけど時事ネタ 「特定秘密保護法の本当の問題」】

 特定秘密保護法案は、今日(11月26日)、衆院国家安全保障特別委員会で強行採決の末、可決されました。この原稿を書いている時点では、まだ衆院を通過したというニュースは入ってきていませんが、おそらく本日中に衆院本会議で緊急上程され、可決される見通しです。

 国民の「知る権利」や「表現の自由」が大きく奪われるのではないか、と言われているこの法律ですが、政府もバカではないのですから、法律ができてすぐに「はい、あなたは扇動」「こっちは共謀、そっちは教唆」「その行動、テロにつながるものと考えられる」などと法の拡大解釈を行っては次々に逮捕…などということはしないと思います。
 というより、はっきり言ってしばらくはこの法律ができたからといって、市民運動にもマスコミにも何も影響はなく、多くの人は「ほら、騒ぎすぎだったんだよ。だから何でもかんでも反対しようとするサヨクは…」と言うかもしれませんが。
 しかし、私は、万が一、今日の衆院で否決されるとか参院に行って引っくり返るとかいうことがあったとしても、すでにこの法案は当初の目的を半ば達成しているのではないか、と思うのです。
 その目的とは、「国家公務員でも市民活動家でもマスコミでもない一般の人たちに対して、『何かを知ろうとしたり、お上のことに首を突っ込もうとするのはヤバイらしい』と思わせること」です。つまり、一般の人たちを心理的に萎縮させ、「やっかいなことにはかかわらない、考えないようにしたほうが身のため」と思考停止に陥らせる。これが今回の法案の最大の目的ではないか、と思うのです。
 法律による規制ではなくて、私たちの自主規制です。

 ついにカヤマも陰謀論かよ、などと言わずにちょっと聞いてください。
 個人情報保護法でも同じことが起きました。私たちはこの法律の中身までをよく知らなくとも、「個人情報」という単語を覚え、それを勝手に拡大解釈して日常生活の中で“自主運営”してはいないでしょうか。たとえば何年か前、卒論を指導している学生とこんな会話を交わしたことがありました。これ、本当の話です。
「就職活動がんばってる?もう内定出たの?すごいね、どこの会社?」「それはちょっと、個人情報になりますから」「あ、ああ、そう。ところで、卒論のことだけど、これまでテーマに関してどんな本をどれくらい読んだか、次のゼミでみんなの前で発表してね」「個人情報の開示は遠慮させてください」。

 もちろん、その学生は「個人情報」という言葉じたいを間違えてとらえているとは思うのですが、こちらも個人情報保護法について熟知しているわけではないので、それ以上、突っ込むこともできず、「そう…。じゃ、卒論がんばってね」としか言えなかったことを覚えています。
 これは極端なケースですが、おそらく「特定秘密」という言葉も同じように正確さを欠いたまま、世間に流布するものと考えられます。私たちは今後、たとえば政治や外交について深く切り込んだ雑誌やサイトを見ているだけで、家族や友人から「それ、特定秘密じゃない?そういうのに近づくとなんだかやっかいなことになるよ」などと警戒を促されるのではないでしょうか。あるいは自分たちで環境問題に関するサークルを作ったりしても、「これ、共謀とか教唆とか思われないよね?警察から疑われる、なんてことないよね?」と疑心暗鬼に陥り、警戒してしまうのではないでしょうか。「心配するくらいならやめておこう」と思う人も出てくるかもしれません。

 ジャーナリストは「政府はこの法案があまり報道されないうちに、さっさと可決しようとしている。くわしく知られると国民が反対するからだ」と言っていますが、私は「まったく知らない人」と「くわしく知っている人」とのあいだに「さわりだけ知っている人」がいて、その人たちこそいちばん、「特定秘密」などというコワモテの言葉がついたこの法律の影響を受けると思うのです。
 ただ、もしそんな事態になったとしても、政府は平然と言うでしょう。「それは、法律を誤解したり言葉を誤用したりして、勝手におびえたり自分たちで規制したりする側がいけないんですよ。我々は、一般の人たちを監視も逮捕も、何もしてないわけですから…。」

 しかし、政府などが直接、力を発動したり強く指示したりしなくても、自らを少数派と認識した市民の側が自主的に情報から離れ、口をつむぎ、あたりさわりのないことだけを行うようになっていき、ついにはすべての人が思考を停止させた社会が完成する、という現象については、すでにドイツの社会心理学者が研究ずみです。その人、ノエル=ノイマンは、この現象に「沈黙のらせん」という衝撃的な名前を与えました(『沈黙の螺旋理論 世論形成過程の社会心理学』、北大路書房)。
 ここで注目すべきなのは、国民は誰かに強制されてらせん階段を上がって行くのではなく、まるで自ら望んだかのように粛々とそこに足を踏み出して上を目指す、ということです。
 私は、特定秘密保護法が審議入りした段階で、もう多くの人がこのらせん階段への一歩を踏み出してしまったのではないか、と考えています。その歩みは、万が一、この法案が今回の国会での成立は見送り、などということになったとしても(それは考えにくいことですが)、残念ながら止まることはないでしょう。
 そのらせん階段でぐるぐると上に向かい、行き着く先には何があるか。
 それは言うまでもなく、全体主義国家です。

 私たちにこれから何かできることがあるのだとしたら、それは、誰かに強制される前に自分から「沈黙のらせん」を上り始めることだけは、せめてやめておこうではないか、ということです。
 「あなたが見てるサイトが扱ってることって特定秘密かも」「その集会、“特定有害活動”にあたるんじゃね?」などと言われても、すぐに「わかった!やめておくね」と情報や活動から遠ざからない。
 ビビらずにこれまで通り、知ろうとしたり語ろうとしたりすること。
 それがどれくらいできるか、私たちは試されているのです。


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ブログイメージ
香山リカの第一診察室
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情報開示は正義 が 一部崩れた事
これがこの法律の精神的な意味だ
市民は勘違いしている
永田町(つまり国家の運営についての)正しさと一般社会の正しさは一致せず「最初からさせる必要がない」
ということを、だ
だが、投票で「選ばれた意見」=みんなの精神的な向かう先=国・市民全体の正義というように思ってしまう
政治で国防や軍事についての正しさ と 市民における正しさは 「全く一致しない」
それを混同してしまう ということ
国家の秘密保護 と 個人の秘密保護 とは 別の話であろう
私的に「嫌いなやつを排除する」目的で恣意的に権力を利用すること は
時代、国の別を越えた「公私混同」のエゴという罪であろう
それの 自己制御や抑制ができない人間を 公職から追放する事・選ばない事 こそ まず市民がなすすべきことだ
その 公私混同 あるいは 私的な共有物利用 という次元では どの法が可決されても同じことだ

市民が 公私の別を超えて恣意的な権力利用を してしまう欲深な人間に 権力を与える
これが 秘密保護法 含めて その他の国家が間違う 最大の原因であろう

市民は自信をもつべきだ「アドルフヒトラーは市民に望まれないと権力を得られなかった」
とんだピエロだっただろう彼は
「市民は 独裁者という 楽しめるおもちゃを 楽しんで 捨てただけだ」
彼は 最後まで 市民を踊らせた と思い込んでいたようだw
「何も知らず 踊ってた彼は 死後 自分が遊ばれたと 気づいた」
彼は 霊界で 「もう政治も軍事にも興味がなく」 夫人といちゃついていて
嫌なくらいに 幸せそうだ
別に信じてもらう必要もないがw
1週間前
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物事に対峙して、考えることをやめない人が書いた名文。ゆっくりと読むために、このブロマガを印刷して、そしてノートに貼って保存します。
1週間前
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