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芸能プロ大手オスカー芸能マネジャーに聞く「“ポスト武井・剛力”のマネジメント」

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2013.06.02

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橋本 そのような場合も考えられます。現場ではいろいろなことが起こります。例えば、自社のタレントが出演するドラマで、そのタレントの方向性に合わない台詞やシーンがある場合は、社長に相談した上、変更できるか番組プロデューサーの方に交渉したりすることもあります。良いモノづくりをフラットな立場で一緒に作っていくというスタンスを持つように心がけています。

--これまでの芸能マネジャーのご経験の中で、一番つらかったことは何ですか?

橋本 思い出すとあまりに悲惨で、思い出したくないくらいですね(笑)。まず、プライベートな時間はほとんどありませんでした。土日・祝日などはまったく関係なく、そのうちに何曜日かわからなくなります。昔上司から、「24時間タレントのことだけを考えるように」と言われました。それができなければ、芸能マネジャーとして向いていないかもしれませんね。

--そうした厳しい仕事を続けてこられた理由はなんでしょうか?

橋本 そうした苦しみを上回るくらいのおもしろさや醍醐味があるからです。大きく言えば、世の中さえ動かすことのできる可能性があるわけです。講演に耳を傾けながらにこやかに微笑んでいるお客様の姿や、コンサート後に満足されたお客様の表情を見ると、「少しでも人のためになる仕事ができたのでは」と感じることもあります。

--現在のチーフマネジャーという仕事も、かなりハードですか?

橋本 肉体的というよりも、頭脳的にハードですね。タレントの情報について「今現場に入りました」とか「誰に挨拶しました」とか、同時進行で現場マネジャーから何件も報告が来ますので、それぞれのタレントの動きを把握することも大事です。

 私たちの班は10代のタレントが多いので、親御さんにもマネジメントチームの一員と同じ気持ちになってもらい、一緒にフォローしてもらうことが大事だと考えています。10代の女の子は繊細で、感情が揺れ動きます。しかも、コンテストで勝ち上がってきた女の子たちは、磨けば光る原石だといってもつい最近までは素人だったわけです。その子たちに、この仕事のおもしろさを伝えるとともに、古賀社長の考えも伝えていかなければいけないわけで。チームでマネジメントを行うという意識が大事だと思います。

●芸能マネジャーのやりがいとは?

--現在の日々の仕事の中で、やりがいを感じられるのは、どのような時でしょうか?

橋本 徐々に担当する子たちの名前が世間に浸透してきました。これからが頑張りどころですね。それから、小芝風花とはこれまでたくさん話をして、信頼関係を作ってきましたが、オーディションで実写版映画『魔女の宅急便』の主役を勝ち取ったことで大きく一歩成長できたと感じています。そういう彼女たちの成長を見るのは、本当にうれしいですね。

--これまでのマネジャー人生の中で、今でも悔いが残る失敗などはありますか?

橋本 いっぱいありますね。前の事務所で働いていた時ですが、講演会の仕事の時に呼んでいただいた会社の名前を間違えて演者に伝えてしまったことがありました。社名にふりがなを振って渡したのですが、講演会が始まって、演者が間違った社名を言った瞬間にハッと気がついて、それから震えが止まりませんでしたね。本人も言ってから気づいたようですが、その時点ではどうしようもありませんよね。それから1時間半、講演会が終わるまで地獄のような時間を過ごしていました。演者からは雷を落とされました(笑)。

●スキルよりハート

--マネジャーになるために必要なスキルとはなんでしょうか?

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