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鮮魚出荷に新システム 「デジタルブックプリント」実証実験
 | ふたに保冷剤を備えた保冷箱と佐藤社長。手前は発泡スチロールと氷の従来方式=26日、岩手県大槌町 |
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岩手県大槌町の情報サービス業「デジタルブックプリント」は、高機能の保冷箱と保冷剤を活用し、大槌で水揚げされた鮮魚の新たな出荷システム作りを進めている。発送コストと廃棄物を削減できるのが特長。大槌産の鮮魚を消費地でアピールし、東日本大震災で被災した水産業の復興を後押ししたい考えだ。
同社は26、27日、被災した水産加工業者でつくる「ど真ん中・おおつち協同組合」と連携し実証実験に取り組んだ。
新システムは印刷・情報管理サービス「トッパン・フォームズ」(東京)から提供された断熱性の高い保冷箱と、素材に合わせて5度からマイナス30度まで選べる保冷剤を使う。
通常の鮮魚発送は発泡スチロールと氷を用い、使い捨てが主流。新システムは保冷箱、保冷剤を再利用するため廃棄物を低減できる。
保冷車でなく普通車による輸送が可能。一般的なサイズの箱で比較すると、1個の発送費は約1000円削減でき、約20回の使用で初期費用が回収できるという。
センサータグで商品管理や庫内の温度履歴を一元管理。継続的な取引や消費者の安心につなげる。一次加工して発送することもでき、残さを産地で有効活用できる。
実験は26日、大槌産のワラサ、ヒラメなど鮮魚約10キロを新システムの普通車と従来方式の保冷車で同時発送。27日に届いた東京の居酒屋で品質を比較したところ「保冷箱の方が鮮度がいい。特にイカは吸盤が吸い付くほどだ」と高評価だった。
デジタルブックプリントの佐藤力社長(44)は「保冷箱を産地に返送する仕組み作りなど課題はあるが、製氷能力が復旧していない被災地で役立つ事業にしたい」と話す。
2013年11月28日木曜日
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