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ウニ蓄養はノルウェー流で 漁協歌津支所青年部が来春実験
 | 高橋さん(右)の船に乗り、海上で養殖施設を視察する武田さん(左)とジェームズさん |
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宮城県南三陸町の県漁協歌津支所青年部は来春、ノルウェーの養殖技術を活用したウニの蓄養実験に乗り出す。同国の研究者らが21、22日、現地視察した。海藻を食べ荒らしているウニを独自の餌で育て、「磯焼け」の解消と安定生産を図る。
視察したのは国立研究機関「ノフィマ」でウニ蓄養を研究するフィリップ・ジェームズさん(48)と、ノルウェーでサバ漁を中心に幅広い事業を手掛ける「カストン社」投資部門責任者の武田剛さん(34)。青年部メンバーでウニを加工販売する高橋栄樹さん(32)の会社などを見学した。
実験は寄木漁港沖の磯焼けした海底でウニを捕獲し、ノフィマが開発した特殊な籠に入れて魚とコンブを原料とするペレット状の餌で育てる。2カ年計画で年間1〜2トンの養殖から始める。
ウニは重さに占める可食部分が20%で良質とされるが、ノフィマの研究では30%まで成長した。技術は世界各国の研究機関で活用されているが、商業ベースで海外に提供するのは初めてという。カストン社がノフィマと契約し、籠などの使用権を青年部に貸与。日本で餌の生産を目指す。
東日本大震災の被災地支援で、ノルウェー政府が昨年9月に主催した視察に高橋さんが参加したのが技術協力のきっかけ。ビジネス拡大を兼ねた復興支援を模索する武田さんと現地で知り合い、蓄養計画を提案した。
高橋さんは「良質なウニを安定供給できれば高く売れる。日本の漁業は行き詰まり感があるが、成功すれば新しい産業になる。実験結果は公開するので、挑戦したいという漁業者に生かしてもらいたい」と意気込む。
武田さんは「商業化を実現し、結果として復興につながればいい。青年部メンバーのやる気こそが成功の鍵になる」とエールを送った。
2013年11月23日土曜日
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