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広野に双葉郡中高一貫校 27年に高校を先行開校 知事示す

 県は双葉郡内での開校を目指す中高一貫校を広野町に設置する。佐藤雄平知事が3日に開会した12月定例県議会で明らかにした。平成27年4月に既存の広野中校舎の一部と仮設校舎で高校を開校し、31年4月に、町総合グラウンド西側に整備する本校舎に移る。サテライト校を設けている郡内の県立高5校は、新設校の開校に合わせて生徒の募集を停止する。ただ、将来、住民が帰還することを前提に、全ての在校生が卒業した後の29年4月から休校とする。

■サテライト設置県立高5校 29年から休校
 県は平成26年度中に広野中の改修と仮設校舎整備を進め、27年4月に高校を開校させる。並行して、町総合グラウンド西側の山林を造成し、総合学習棟と管理・高校棟、食堂などを備える本校舎の建設に着手する。屋上にゴルフ練習場がある体育館や格技場などのスポーツ棟、プール、グラウンド、農場も整え、31年4月に使用開始する計画だ。
 通学が困難な生徒のために広野幼稚園の施設の一部を宿泊施設に転用する。
 高校は総合学科とし、大学進学に重点を置く「進学教養系列」、世界で活躍するトップアスリートを育成する「スポーツ系列」、専門的な職業人を目指す「専門教養系列」の3系列を設置。生徒の幅広いニーズに応えられる魅力ある学校を目指し、県内外から入学者を募集する。
 しかし、現時点で生徒確保の見通しは不透明で、募集定員の規模などは決まっていない。県教委によると、4月1日現在、郡内の8町村の中学校11校には318人の生徒が在籍している。
 県教委は10月上旬、双葉地方町村会から要望を受け、広野、楢葉、川内の3町村を候補地に中高一貫校の設置場所の選定作業を進めてきた。広野町は避難指示が解除され、既存の施設を有効活用できる。JR常磐線が広野駅まで利用可能で通学手段が確保できるメリットもあり、設置場所に選ばれた。

■中学は未定
 中学の開校時期は未定となっている。県教委は高校の隣接地に中学棟建設を検討するが、当面、広野中など郡内の既存の中学校と連携する形で教育に一貫性を持たせる方針だ。一方、双葉地方町村会は新たな中学校の併設を要望している。県教委は「町村会の要望を最大限に尊重する」との姿勢を示している。
 現在、サテライト校の双葉(双葉町)、浪江(浪江町)、浪江津島(同)、富岡(富岡町)、双葉翔陽(大熊町)の双葉郡内の県立高5校は平成27年春から生徒の募集を停止し、29年春から休校となる。県教委は「あくまでも再開を前提とした休校。住民の帰還が進んだ後に再開する」と存続を強調している。
 佐藤知事は本会議の所信表明で「入学する子どもたちの幅広いニーズに応える魅力ある学校を広野町に設置する」と述べた。

カテゴリー:福島第一原発事故

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