1票の格差:広島高裁判決に原告側「新しい点何もない」
毎日新聞 2013年12月05日 13時27分(最終更新 12月05日 13時33分)
「請求を棄却する」。今年7月の参院選の「1票の格差」を巡り選挙の無効を求めた訴訟の判決で、広島高裁の宇田川基裁判長が5日、主文を告げると、原告側の弁護士グループは正面を見つめたまま、無言で静かに退廷した。金尾哲也弁護士は「(違憲・無効とした)岡山の判決と比べて後ろ向きな判断は今後、全国の同じ裁判に禍根を残すだろう」と沈痛な面持ちで語った。久保利英明弁護士も「ふぬけな判決だ。同じ主張で岡山とこれほど違うとは」と絶句した。
先月28日の広島高裁岡山支部では、参院初の選挙無効の判決が下された。だが、この日の判決では法の下の不平等は認めたものの、1票の格差是正の合理的期間は過ぎていないとして「違憲状態」にとどまった。
正午から広島市の広島弁護士会館で開かれた記者会見では、厳しい声が相次いだ。金尾弁護士は「定数配分の違憲性を正面から考え、選挙無効を言い渡してほしかった」と憤った。さらに「評価すべき点、新しい点は何もない。国会議員に求めることは、自分たちが正当な手続きを経て選ばれていないということを実感してほしい」と注文をつけた。
続いて記者会見した久保利弁護士も最後まで厳しい表情を崩さず、「到底、受け入れるわけにはいかない。今回の判決は国会にげたを預けた、現状追認型判決だ。いくつか無効判決が出るなかで、大きく後戻りをした不当な判決だ」と話した。【石川裕士、原田悠自、松井豊】