秘密保護法案:「情報ますます不透明」地方からも反対訴え

毎日新聞 2013年12月05日 21時55分(最終更新 12月05日 22時04分)

 特定秘密保護法案を巡っては、地方議会や首長の間にも慎重審議や反対を訴える声が広がっている。

 いち早く反応したのは福島県議会。東京電力福島第1原発の情報も、テロ防止に関連して特定秘密に指定される可能性があるとして10月9日、同法案に慎重な対応を求める意見書を全会一致で採択した。12月5日には平出孝朗県議会議長が「原発の安全に関する情報は県民の生命と財産に関わる重要な情報」と指摘し、特定秘密に指定されることがないよう慎重審議を求める談話を発表した。

 愛知県日進市議会も11月29日に「今、重要なのは徹底した情報公開の推進」などとして慎重審議を求める意見書を、今月2日には東京都小金井市議会も慎重審議を求める意見書を採択。さらに同国立市議会は同日、法案の廃案を求める意見書を賛成多数で採択した。

 知事の間にも異論が出ている。静岡県の川勝平太知事は11月25日の定例記者会見で「悪法だ」と反対を表明。「情報の所有者は誰なのか考え直す必要がある」などと述べた。

 愛知県の大村秀章知事もかねて「知る権利」の制限に懸念を示しており、衆院採決翌日の11月27日の記者会見では「審議時間を十分に取るべきだ」と苦言を呈した。佐藤雄平・福島県知事も衆院採決について「慎重な審議がなされたとは言い難い」と述べている。

 特定秘密の対象になる「外交」「防衛」と密接な関係のある沖縄県の自治体では、より慎重な意見が目立つ。

 琉球新報が11月中旬に県内41市町村長に実施したアンケートによると、回答のあった40人中、法案への反対が18、賛成は3、残りは賛否を留保した。法案に批判的な首長は「基地問題の情報が閉ざされて事態の真相究明が困難になる」(東門美津子・沖縄市長)、「現在でも必要な情報が不十分なのに、ますます不透明になる」(石嶺伝実・読谷村長)などの理由を述べている。【日下部聡】

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