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ここに注目! 「終盤国会~特定秘密保護法案の行方は」2013年11月27日 (水)
安達 宜正 解説委員
今国会の焦点・特定秘密保護法案は昨夜、衆議院本会議で可決。論戦の舞台は参議院に移ります。安達宜正解説委員に聞きます。
アナ)与党は衆議院の採決に踏み切りました。どう見ていますか?
安達)自民党議員に聞くと、官邸・安倍総理周辺の意向もあったようです。会期末が来月6日ですから、参議院での審議時間を考えるとギリギリのタイミング。税制改正や予算編成を考えると、会期延長は避けたいという判断です。ただ、民主党などは反発。修正案で合意していた維新も審議不十分と採決を退席しました。みんなの党からも反対が出て、参議院でも造反を明言する議員もいます。参議院では冒頭から、対決色の濃いものとなります。
アナ)維新の対応。わかりにくいという感じもします。
安達)読み違いでしょうね。維新は修正合意をめぐって、党内が2つに割れ、結局、合意は受け入れる一方、慎重な審議を求めるという「玉虫色」の取りまとめとなりました。しかし、与党からすればそんな都合のいい話はない、みんなの党も同意しているから、単独採決は避けられると強気の対応となりました。
アナ)参議院での審議、焦点は何ですか?
安達)国民の知る権利、これが修正案で本当に担保されたのかどうかという点です。
例えば、修正案では総理大臣の指揮監督権を明記。これで、行政の恣意的な秘密指定を防ぐとしています。しかし、30万とも40万とも言われる秘密を総理がチェックできるかという指摘です。
アナ)スタッフが必要ということでしょうか?
安達)やるとすればそうです。だいたい行政機関の長である総理が第3者的な立場かという疑問もあります。独立した監視機関が必要だという意見です。アメリカでは国立公文書館の情報保全監察局がその役割を担い、専任のスタッフがいます。修正案の付則に第3者機関の設置検討が盛りこまれていますが、これがいつ、どんな形で実現するのか、参議院の審議で詰めてもらいたいと思います。
アナ)法案の見通しはどうですか?
安達)参議院でも与党が多数ですから、数の上では成立する可能性が高いと思います。しかし、さきほどの問題のほかにも、秘密が公開されるまで期間が適切かどうかや国会の国政調査権との関係など多くの論点が残り、国民にも疑問や懸念があることは確かです。参議院は良識の府という以上、こうした声も受け止めて、審議を進め、間違いのない結論を出して欲しいと思います。