東日本大震災:宗教が果たした役割とは 不安な夜、頼り、支えられ
2013年11月21日
先に紹介した「心の相談室」の室長を務めた医師の故岡部健さん(12年9月死去)と共に、鈴木岩弓(いわゆみ)・東北大学教授(62)は昨年4月、同大に「実践宗教学寄附講座」を開設。心のケアに携わる宗教者「臨床宗教師」の養成を目指す。既に3期生まで約40人の研修修了者を送り出した。将来は病院や介護施設で受け入れられることが目標だ。「理系学部は技術によって世を変えられる。文系学部に即効性はない。でも今、世の中をいい方向に変える発信ができるチャンスが来ていると思っています」
◇若者の関心、高まる 入門書など人気
「お墓や供養について教えて」「自殺した親族のことが頭をよぎる」−−。仏事に関する質問や生きる上での悩みなどにお坊さんたちが答えるサイト「hasunoha(ハスノハ)」が、昨年11月始まった。創設したのは、元「YAHOO! JAPAN」社員のプロデューサー(43)ら男性3人だ。
震災直後の4月初め、お経を唱えつつ被災地を歩く盛岡市、石雲禅寺の小原宗鑑(そうかん)副住職の姿が話題になり、これが創設のきっかけだった。「仏教には葬式のイメージしかなかったが、その僧侶の写真を見て、仏教というか宗教の存在意義を実感した。宗教が必要だと思った瞬間です」とプロデューサーは話す。