東日本大震災:宗教が果たした役割とは 不安な夜、頼り、支えられ

2013年11月21日

300人を超える住民が犠牲になった宮城県東松島市野蒜地区。全国から集まった青年僧侶約300人が巡礼、鎮魂の読経が海岸に響いた=2013年11月13日、小川昌宏撮影
300人を超える住民が犠牲になった宮城県東松島市野蒜地区。全国から集まった青年僧侶約300人が巡礼、鎮魂の読経が海岸に響いた=2013年11月13日、小川昌宏撮影

 今年9月、元々同社があった山の上の元宮に仮社殿が建てられた。伊勢神宮から木材提供を受けて、神社本庁が進めている復興支援だ。社殿ができたら祭りだとばかりに同月16日、震災以来、初めてみこしを担いだ。といってもそれは小型のみこしで、本来は本殿から祭り用のみこしにご神体を移す時に使うもの。あいにくの台風で船に乗せて海を渡る見せ場の「海上渡御(とぎょ)」は中止となったが、惜しむようにみこしを担いだ。

 本来のみこしは修復資金を募っている。神輿会会長の上林善博さん(37)は両親と妻、末っ子を亡くした。「神輿会のみんなに支えられた。生き残った者が元気にやっていることが供養になるんじゃないですか」

 ◇鎮魂の巡礼

 背丈ほどの草に覆われ、家々の基礎部分だけが残る更地に、青年僧侶約300人の読経が響いた。震災の津波で住民の約1割に当たる321人が死亡した宮城県東松島市野蒜(のびる)地区。震災犠牲者を追悼する巡拝慰霊法要が13日に営まれた。

 全国から集まった全真言宗青年連盟(清雲俊雄理事長)の僧侶らが列をなし、土地や犠牲者の魂を清める土をまきながら巡礼。約40分間かけて地区を巡り、野蒜海岸では鎮魂の祈りを込めたホラ貝の音を響かせた=写真。【近藤綾加】

 ◇学者ら、傍観から支援に オウム事件反省

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