東日本大震災:宗教が果たした役割とは 不安な夜、頼り、支えられ
2013年11月21日
行茶に通った福島県の40代の僧侶は、同年末から眠れなくなった。寝ると実体験もないのに津波の夢を見てしまう。酒に紛らわせて床に就くこと3カ月。仮設住宅に行くと、いきなり涙が止まらなくなる症状に襲われた。ある日、目が見えなくなり、激しい頭痛に見舞われ救急搬送される。行茶の後、リポートを書いてため込んだ感情を整理することの重要性を身をもって知った。参加するペースは落としたが、「やるしか選択肢はない。そのモチベーションで仲間の僧侶とつながっているので、継続できるのかな」。
曹洞宗復興支援室分室の主事を務める久間泰弘・龍徳寺住職(43)は「支援は何カ所かに限ろうかとも話し合いましたが、結局、3県すべてでパンクするまでやろうと。幸いまだパンクしていません」と話す。
カトリックのシスターでもある高木慶子(よしこ)・上智大学グリーフケア研究所特任所長(77)が、「傾聴ボランティアはお断りします」の張り紙を避難所で初めて見たのは震災の年の9月。やがて仮設住宅や集会所でも見かけるようになった。「宗教者だけでなくカウンセラーや医療関係者でもひたすら話に耳を傾け、内容は口外しないという傾聴の基本ができていない方が多い」と注意を促す。