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【特定秘密保護法案】

野党無視 議場に怒号 「国滅ぼす」「国民なめるな」

参院国家安全保障特別委で特定秘密保護法案が強行採決され、抗議や拍手をする傍聴していた与野党の議員ら=5日、国会で

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 「こんな法律、国を滅ぼす」「国民をなめるな」。特定秘密保護法案の審議は五日、参院第一委員会室で行われ、議員らの怒号とやじが飛び交う中で強行採決された。

 「委員長−」。与野党の衆参議員数十人が審議を見守る異様な雰囲気の中、午後四時七分に元プロ野球選手で自民党の石井浩郎(ひろお)委員が突然、立ち上がり、手を上げて叫んだ。

 質疑打ち切り動議。「無効だ」「ダメダメ」。野党の委員はすぐに委員長席へ駆け寄り、机をたたいて抗議。中川雅治委員長の肩を押さえたり、紙で顔をふさいだりして採決を止めようとしたが、元自衛官で自民の佐藤正久筆頭理事の合図で、与党議員が立ち上がり、法案は可決された。

 委員会は、開会した午後一時から怒号が飛び交った。中川委員長の強引な委員会運営に野党側が説明を求めたが、すべて無視。「速記を止めろ」「休憩だ」と訴え、議場はたびたび混乱した。

 立ち見が出た傍聴席でも怒りが充満した。長野県安曇野市から来た杜(もり)達史さん(70)は「こんな法案が可決され、孫に怒られる。あまりにひどい。これが民主主義か」と怒りをぶちまけた。

◆暴力受けているよう/参院の役割果たさず

 作家の北原みのりさんの話 こんなに重要な法案が、これほどすぐに通るのか。何だかよく分からないまま、暴力を受けているような気持ちだ。安倍晋三首相は「国民を守るため」と言うが、「守る」と言い切る男が一番信用できない。ドメスティックバイオレンス(DV)をする男の口癖は「おまえを守る」。空っぽで中身がないことの象徴だ。ただ私たちも、安倍さんが語る「美しい話」しか聞きたくないぐらい疲れてしまっているから、こういう人たちを選挙で選んでしまったのかもしれない。これから、どんな結果がもたらされるのか分からないが、次の選挙まで気を抜かないようにするしかない。

 高見勝利・上智大教授(憲法)の話 行政の情報は国民の共有財産だ。国民を代表する国会が秘密指定の妥当性を最終的に判断し、場合によっては開示するよう指示する仕組みが必要となる。国会の委員会や、国会に置く第三者機関など、いろいろな制度設計があるが、そうした民主的な統制が及ばない制度は、憲法上疑義がある。にもかかわらず、国会が自らの手を縛るような法案を、これほど乱暴な形で通すのは奇妙だ。ねじれ解消後の参院がどれだけチェック機能を果たすかも見どころだったが、国民の不安や疑問に答えず、第二院として役割を全く果たしていない。存在意義が問われる事態だ。

 

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