2013年12月5日18時42分
■教育研究者・大田堯さん
私は95歳。戦前の治安維持法の時代を生きてきました。
社会が戦争に徐々に引きずり込まれていき、情報がなくなり、ものを考えることを無意識に停止させられていった。いま、そんな時代に近づいているのではと恐れます。
この法案の根本問題は、知る権利が奪われることです。その事態がとっくに現実になっているのが学校です。
1950年代、教科書検定が厳しくなり、歴史学者の家永三郎さんが教科書に広島や本土空襲の写真を載せようとして「暗いからダメ」「無謀な戦争という評価は一方的」と不合格にされ、裁判を起こした。私も原告側の証言者として30年余り戦いましたが、検定はなくせませんでした。
文部科学相は検定で「教育基本法の目標などに照らし、重大な欠陥がある」と判断されれば、教科書を不合格にすると言いだしている。そこにこの法律ができると情報が一層統制され、教師は萎縮。被害を受けるのは子どもです。
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