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志功の緞帳復元、弘前に帰郷
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棟方志功が制作した約50年前の色彩に復元し、弘前市民会館の舞台につるされた新たな緞帳=28日午前10時10分ごろ |
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青森市出身の板画家棟方志功が手掛けた弘前市民会館の緞帳(どんちょう)の復元・新調作業が完了し、28日午前、完成した緞帳が同会館に搬入された。制作当時の鮮やかな色彩が約50年ぶりによみがえった。
市民会館の緞帳は1964年の開館に合わせて志功が原画を制作した縦8メートル、横16メートルの西陣本綴織(にしじんほんつづれおり)。「御鷹揚げの妃々達々(おんたかあげのひひたちたち)」の作品名で親しまれてきた。しかし、長年の照明などの影響で色がくすみ、糸が弱って落下する危険もあったため、市民会館の大規模改修工事に合わせ新たに作り直すことになった。
今年1月、古い緞帳を京都の織物工場へ送って糸の素材や色彩を分析し、272色の糸を使っていたことが判明。伝統工芸士が手織りで新たな緞帳を制作し、10月末に99%の復元率で完成した。緞帳の裏側には、募金に協力した市民約1450人のうち、希望した約1370人の名前を記した布を取り付けた。
緞帳は28日早朝に京都から同会館に到着。搬入作業は午前8時半から始まり、約560キロの緞帳をトラックからクレーンでつって運び入れた。舞台上で作業員約20人が緞帳を広げ、つり下げるためのバトン(横棒)に結びつけた後、約30分かけてつり上げると、くっきりとした色合いの緞帳がゆっくりと姿を現した。
作業を見守った田村嘉基館長は「あるべき場所に戻ってきたな、という思い。黄色くなっていた姫たちの顔も白に戻った」、葛西憲之市長は「50年前の色彩の鮮やかさが圧倒的な迫力で迫ってくる。感動した」と話した。
新たな緞帳は来年1月5日、市民会館のこけら落としで募金した市民らに公開される。
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