小笠原の火山新島:大地震の前兆か 関東で3週連続M5
毎日新聞 2013年12月05日 16時43分(最終更新 12月05日 19時55分)
遠田教授の解析によると、この地震帯でM3以上の地震は3・11以前の2年間では1日あたり平均0.15回起きていたが、3・11以降、今年11月16日までの平均では1日あたり0.43回。つまり3倍近く増えている。時間が経過するとともに落ち着いていくと予測していたが、今なお活発な状態が続いているという。
「統計的に地震の規模と発生回数の関係はMが1小さくなると、回数は10倍になることがわかっています。M5以上の地震が100回起きたとすると、M6以上は10回、M7以上は1回起きる計算になる。つまり小さな地震がたくさん起きているところでは大地震も起きやすい。関東直下の地質構造はわかっていないことも多いのですが、大地震への警戒が必要だと思います」と遠田教授は語る。
一方、東京大学地震研究所の古村(ふるむら)孝志教授(地震学)は「3・11直後は余震が多発しましたが、今は1カ月に全国で起きる地震の数は約1万回。これは3・11以前と比べてそれほど多いわけではない。日本列島全体では地震活動は3・11以前の状態に戻りつつある」と話す。
大きな地震が発生すると、震源の近くで小さな地震が続発する。最初の大きな地震が本震で、その後に引き続き起こる地震が余震だ。震源域から離れた場所で起きるのは誘発地震と呼ばれる。古村教授は「関東で三つ連続した地震は、もともと地震がよく起きる場所で起きた、以前からあるタイプの地震。3・11の誘発地震ではない」とみる。そのうえで「M9.0の東日本大震災が起きてまだ2年9カ月。余震が発生している地域は今のところ岩手県沖から茨城県沖までにとどまっていますが、今後、影響が北海道沖や房総沖へ広がって新たな地震が誘発されたり、震源域から日本海溝を挟んだ東側で大津波を伴う『アウターライズ地震』が発生する可能性もあり、まだまだ数年にわたって注意が必要です」と分析する。04年のスマトラ沖大地震(M9.1)では約8年後にM8.6の余震が発生している。
東日本大震災を契機に関東直下で地震活動が活発になっているとする遠田教授。今後誘発地震が起きる可能性を指摘する古村教授。3・11以降、この二つのタイプの大地震に注意が必要になっている。