つまり、あくまで企業にとって必要な人材だったから採用したと回答する。
しかし、実態は全く違うようだ。現在、ある銀行に天下っている警視庁OBが明かす。
「一応は、コンプライアンス問題や、反社会的勢力への対応が私の主な職務ということになっています。ですがこれまで2年間在籍して、仕事はほとんどありませんでした。そもそも社内には専門の担当者がいるので、私の出番はないんです。
昼間は会社の近所をぶらつき、午後はもっぱら肉体鍛練という日々です。ただ、私の職務は『万が一に備える』ことなので、仕事がないのは『万が一』がなかったということ。だからタダ飯食いという意識はないし、天下りという意識も全くありません」
給料はすごく高い
金額こそ明言しなかったものの、このOBは「給料も悪くはありません。皆さんが考えるほど多くはないと思いますが、何の不満もない」と言う。
要するに、高給取りの用心棒にすぎず、仕事らしい仕事などないのだ。
注目すべきは、一昨年の10月から東京都でも施行された暴力団排除条例(暴排条例)の存在が、警視庁OBの再就職先を増やすのに一役買っているという現状である。
「企業・団体としては、警視庁OBを受け入れることで『うちはきちんと暴力団対策をしている』というポーズを取ることができる。警視庁の側も、『暴力団との付き合いをやめて、警視庁OBを雇いなさい』と暗に指導して、利権を大きくしているのです」(前出・全国紙社会部記者)
しかし、彼らの威光にどの程度意味があるかについては、疑問符が付く。今回の資料にあるだけでも2名の警視庁OBが再就職しているみずほグループが、暴力団への融資問題で厳しい追及を受けているのは周知の通りである。
「警察OBを受け入れただけで暴力団対策になるならば、苦労はしません。それならば、警視庁OBを複数抱えているみずほは何をやっていたんだという話になるでしょう」(警察組織の不祥事に詳しい清水勉弁護士)
さらには、天下り警視庁OBの存在が、捜査の中立性を妨げる可能性も指摘されている。ジャーナリストの大谷昭宏氏が言う。
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