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【社説】韓国経済を襲う円安の波、政府は危機感を持て

 安倍政権が円安政策を推進し始めてから1年にして、円安の波が韓国経済に押し寄せている。最近の円は国際外国為替市場で1年前に比べ22.6%下落し、1ドル=102-103円台を付けている。円安のあおりで、1-9月に韓国を訪れた日本人観光客は25.5%の大幅減となった。また、韓国のパプリカ生産農家はウォンが対円で大幅に上昇したため、輸出による利益が20%余り減少した。

 問題は、円安の衝撃波が観光や農水産物のような小規模な産業だけでなく、今や自動車、電子、鉄鋼といった韓国経済を支える産業にまで広がっていることだ。韓国の自動車産業は昨年617億ドル(約6兆3000億円)の貿易黒字を計上した。完成車や部品の輸出で国全体の貿易黒字(285億ドル=約2兆9000億円)の2倍以上の黒字をたたき出したのだ。

 だが、韓国車の輸出価格競争力(実効為替ベース)はこの1年間で日本車よりも悪化した。北米市場で、トヨタ自動車の販売台数は今年26.8%(44万台)増加するのに対し、現代・起亜自動車は5.7%(12万台)の増加にとどまる見通しだ。円安があと3-5年続けば、自動車、電子機器、鉄鋼といった韓国を代表する輸出製品全てが日本製品との死活を賭けた闘いに臨まざるを得なくなる。

 韓国政府は、今年2回にわたり打ち出した不動産市場のてこ入れ策が思うように効果を挙げなかったことから、このほど住宅基金2兆ウォン(約1900億円)を投じる追加の対策を発表した。今年の経常収支黒字が過去最高を記録するとの予測に、不動産市場さえ持ち直せば景気が上向くと錯覚しているのかのようだ。こうした「応急処置」だけでは、韓国経済の主軸産業が脅かされている現状を打破することはできないだろう。

 朴槿恵(パク・クンヘ)政権の致命的な欠陥は、韓国経済が置かれた状況に対する認識が甘いことだ。韓国経済は低成長の中で物価上昇率が1%を切る状態が続いており、好調だった輸出にも暗雲が垂れ込めている。経済が崖っぷちに追い込まれているという危機意識がないため、政府は不動産対策や医療産業の規制緩和といったその場しのぎの政策ばかりを乱発している。非常事態を突破するビジョンを提示する人さえおらず、国民はもどかしさを募らせるばかりだ。

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