参院選は「違憲状態」広島高裁12月5日 16時24分
ことし7月の参議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で4.77倍の格差があったことについて、広島高等裁判所は憲法違反の状態だという判決を言い渡しました。
選挙の無効を求めた訴えは退けましたが、「3年後の選挙の前までに著しい不平等状態が改善されなければ憲法に違反すると判断されることになる」と指摘しました。
ことし7月の参議院選挙では、選挙区ごとの1票の価値に最大で4.77倍の格差があり、2つの弁護士グループが47都道府県のすべての選挙区で選挙の無効を求める訴えを、全国14の高等裁判所と高裁支部に起こしています。
このうち、広島選挙区と山口選挙区を対象にした裁判の判決が広島高等裁判所で言い渡され、宇田川基裁判長は「違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等が生じていたと言わざるをえない」と指摘し、1票の格差は憲法違反の状態だとする判断を示しました。
その一方で、国会の対応について「今回の選挙は著しい不平等と判断された去年の最高裁判決から9か月後に行われた。選挙の仕組みの見直しには相応の時間を要し、制度改革に向けての検討が行われているなかで、選挙までに定数配分の規定を改正しなかったことが憲法違反とまでは言えない」として、選挙の無効を求めた訴えを退けました。
昭和22年に参議院議員選挙法が制定された当時、格差は最大で2.62倍でしたが、5日の判決では「これを超えるような格差が残る改正では憲法上許されない。3年後の選挙の前までに著しい不平等状態が改善されなければ憲法に違反すると判断されることになる」と指摘し、抜本的な改正を求めました。
7月の参議院選挙の1票の格差を巡っては、先月28日に広島高裁岡山支部で岡山選挙区の選挙を無効とする判決が出ています。
全国各地の判決は今月26日までに言い渡されます。
「非常に残念な判決で上告したい」
判決のあと記者会見した原告側の久保利英明弁護士は「非常に残念な判決だ。司法の役割を放棄した判決と言わざるをえず、すぐに上告したい。国会議員一人一人の背中には同じ人数の国民がいるから国会の多数決は成り立っているのに、きょうの判断にはこうした国民主権の基本的な原理が抜け落ちている。これから判決を出す裁判所には日本を民主国家として再生できるような判決を期待したい」と話していました。
また、金尾哲也弁護士は「無効と判断した広島高裁岡山支部の判決と比べ、色あせた判決で上告したい。衆議院選挙の1票の格差を巡り先月の最高裁の後ろ向きな判決にこびた内容だ。問題をもっと正面から考えて違憲、無効の判決を出してほしかった。国会議員には違憲の選挙制度のなか、正当に選ばれた議員とは言えないという自覚を持って抜本的な定数改革に臨んでほしい」と話していました。
広島県選管「主張認められた」
広島県選挙管理委員会の橋本宗利委員長は「基本的にわれわれの主張が認められたものと評価している。選挙管理委員会としては今後とも公正な選挙の管理執行に努めてまいりたい」というコメントを発表しました。
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