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和歌山県串本町津荷の海岸で1日、海面を「追太(おうた)棒」と呼ばれる木の棒でたたき、アオリイカを網に追い込む伝統の「磯打ち網漁」が始まった。初日は数匹しか水揚げがなかった漁師がほとんどで「今シーズンは少ないのではないか」と口をそろえた。 藻が生えた磯に産卵のためやってくるアオリイカを狙った漁法。主に夫婦で行い、1人が操船してもう1人が追太棒で海面をたたいたり、石を投げ入れたりして、張り巡らせた網に追い込む。 和歌山東漁協津荷支所では9戸が漁をしている。漁場は4カ所で、くじで決めた順番で日ごとに交代しながら漁をする。天気が崩れ始める時などによく捕れるという。 この日は4戸がそれぞれ2、3回出漁したが、最も多い船で10匹しか捕れなかった。例年初日は10〜20匹捕れるが、今年は磯に藻が少ないことや水温が低いことが影響しているのではないかという。 漁歴約30年の加田俊作さん(58)、美智子さん(56)夫婦はこの日、漁港から約1キロの漁場に出た。午前中は水揚げがなく、午後は1・5キロのアオリイカ1匹を捕った。 加田さんは「風が強く疲れたが、1匹だけでも捕れてよかった。明日からに期待したい」と話した。漁は7月下旬まで続く。
[記事全文] 【紀伊民報】
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