高校授業料の無償化制度に所得制限を設ける法律が27日、参院本会議で可決、成立した。全生徒対象の現制度を変え、来春の新入生からは世帯年収910万円未満の生徒だけに限る。浮いた財源で、低所得層の支援を手厚くする。

 高校無償化制度は民主党政権が2010年度に導入したが、自民などが「ばらまきだ」などと批判。今回の法改正には自民、公明、みんな、維新が賛成し、民主、共産、生活、社民は「低所得層への支援拡充は教育予算の増額で対処するべきだ」などと反対した。

 文部科学省の概算では、所得制限で無償化制度の対象となる生徒は、現在の360万人から281万人(78%)に減る。1~3年生全てが新制度の対象となった場合、事業費3950億円のうち890億円が浮くことになるという。

 現行の支給額は、原則として公私立ともに、公立の年間授業料に相当する11万8800円。ただし、私立は平均授業料が約38万円と公立より高いため、低所得層には1・5~2倍に加算をしている。