参院国家安全保障特別委員会は4日、さいたま市で特定秘密保護法案をめぐる地方公聴会を開いた。5日の委員会採決を目指す与党が単独で開催を決めたことへの反発から、共産党以外の野党は欠席し、意見陳述者も自民、公明、共産各党が推薦した3人のみ。当初は所要約2時間半の想定だったが1時間強で終わり、懸念を解消する議論にはならなかった。

 公聴会では、前陸上自衛隊化学学校長の川上幸則氏(自民推薦)が「特定秘密を保護する枠組みがなければ米英も情報をくれない」と法案に賛成を表明。民間企業でサイバー攻撃への対処に取り組む伊東寛氏(公明推薦)は「今までこういう法律がなかったことが驚きだ」と早期成立の必要性を訴える一方で、秘密指定や解除のあり方については「三権分立で(行政機関以外に)国会、裁判所がそれぞれチェックをかけるべきだ」と課題を挙げた。

 これに対し、埼玉弁護士会元副会長の山崎徹氏(共産推薦)は廃案を求めた。「(何が特定秘密にあたるかを列挙した)別表の範囲が広く、大臣の一存で指定できる」と指摘。「まず安全保障、秘密ありきで、知る権利には『配慮』にとどめている。発想が憲法の立場と逆転している」と訴えた。