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射程

政治家を「つくる」視点を 2013年12月05日

 県内では今年、15市町村の首長と11市町村の議会議員が任期満了に伴い改選された。結果を振り返ると、国政と共通する地方政治の課題が見える。有権者の選挙離れに起因する、政治と民意の「距離」の広がりだ。

 26の選挙のうち、投票率が前回を上回ったのは一つだけ。20選挙は投票率が下落し、過去最低を更新した選挙も多かった。阿蘇など5市町村の首長選と五木村議選は無投票で確定した。

 無論、単に選挙が実施され投票率が上がりさえすればいい、というものではない。住民すべてが地元の行政や政治に満足しており、現状維持を求めているのであれば、多額の予算を費やしてまで選挙する必要はない、という考え方も出てこよう。

 ただ、実際はどうだろう。低投票率や無投票の背後に「投票したい候補者が見当たらない」「だれに投票しても、何も変わらない」といった有権者の失望やあきらめが潜んでいないか。

 いずれにしても、政治は選挙結果によって動く。選挙で信任を得た首長と議会が進める政策は、仮に民意と懸け離れたものであっても簡単には覆らない。

 「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄は「出たい人より出したい人を」という選挙標語を生み出した。理想論過ぎるかもしれないが、政治家とは本来、有権者が日々の暮らしの中で見いだし、育てるべきものだ。

 来年は、県内10市町村の首長と9市町村の議会議員が任期を終える。政治に無関心ではないが選挙には行かない。そんな有権者が立ち位置を少し変え、政治家を「選ぶ」のではなく「つくる」視点を持つことが、政治と民意の距離を縮めるための出発点ではないか。(花立剛)


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