秘密保護法案:参考人全員が懸念 石破氏発言に批判も

毎日新聞 2013年12月03日 12時51分(最終更新 12月03日 13時33分)

 参院国家安全保障特別委員会は3日午前、特定秘密保護法案に関する参考人質疑を行った。意見陳述した3人の参考人全員が法案への慎重姿勢を表明。自民党の石破茂幹事長が自らのブログで法案に反対する市民団体らのデモを「テロと本質的に変わらない」と批判したことについて、日本弁護士連合会の江藤洋一秘密保全法制対策本部長代行は「言論弾圧、政治弾圧に利用される可能性を示唆している」と述べ、廃案にすべきだと主張した。

 新聞労連の日比野敏陽委員長も「石破氏は(ブログを)撤回したが、事の本質が解決したとは思えない。当局が処罰対象を恣意(しい)的に運用するのは確実だ」と懸念を表明。法案にある取材・報道の自由への配慮規定については「捜査当局に配慮してもらうため、『良い子でいろ』と記者に言っているようなものだ」と語り、法案を廃案にするよう訴えた。

 全国地方銀行協会元会長の瀬谷俊雄・東邦銀行相談役は「国家権力に対して、民間までが処罰の対象になるのは疑問だ」と述べ、法案が民間人を処罰対象としていることに疑問を呈した。その上で「国益の範囲を極力絞って、集中的に適用されたらいいのではないか」と述べ、法案の慎重審議を求めた。

 一方、菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、石破氏のブログによる特定秘密保護法案審議への影響について「今後の進行に影響はない」と強調。森雅子同法案担当相は3日の記者会見で「市民のデモは法案の『テロリズム』に当てはまらない。表現の自由は何より大切だ」と説明した。

 与党側は参院国家安全保障特別委員会での参考人質疑を終え、採決の環境は整ったと主張し、今国会会期末の6日までの法案成立を目指している。自民党は3日午前の同特別委理事会で、採決の前提として、4日午前に安倍晋三首相が出席する質疑を行い、同日午後からさいたま市で地方公聴会を開催する日程を提案。野党側は「聞いていない」と応じず、引き続き協議することになった。

【木下訓明】

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