ヒットの理由「はしゃがないのが良かったのかも」
それにしても、なぜこれほどまでウケたのだろうか。世にグルメ番組は数え切れないほどあるのに…。
「どうしてかなあ。淡々と、落ち着いた感じが良かったのかもしれませんね。これはプロデューサーが最初に言ってたんだけど『はしゃがないでいこう』って。(原作者として)うれしかったよね。今(のテレビ番組)は、はしゃぐのが基本じゃない。それと、これも今の主流とは違って、番組が番組に突っ込まないのも良かったのかもしれない。視聴者の方が『食いすぎだろ』とか言えるじゃないですか(笑い)」
この“突っ込みたくなる感覚”はツイッター文化と結びつき、ドラマの放送中は多くのツイートが飛び交った。
「あとは、昔の番組っぽいというか、丁寧に作っているのが伝わったのかもしれないね」
おいしい店を見つけても、取材がNGだったことも数え切れない。実際の店を使用してドラマを撮影するため、営業を休んでもらわねばならないのだが、料理は実際に本物を作ってもらっていた。久住氏いわく「何重にも面倒くさい」とも言える“丁寧さ”がリアリティーにつながったようだ。「親子や夫婦で見てくださる人も多くて、すごくうれしかった」。したり顔の評論家や耳ざわりなウンチクが少ないのも視聴者としては心地良い。
この一連の「孤独のグルメ」シリーズは、世の人々にグルメの本質を再認識させたともいわれている。
「漫画でも番組でも、この料理はこうあるべきだってことは言ってないんです。おいしかった、自分に合ってた。おいしいものってそうだと思うんですよ。みんな(の流行)を追っかけていくより、自分の好みを見つけていくのって楽しいじゃないですか。ボロ居酒屋に入ったらすごく良くて、帰ってから試しにネットで検索をかけて写真もコメントもなかったりしたら、すごくうれしいものね」
何度も失敗して、店選びの嗅覚と判断力を磨く必要があるというが、ネットの情報に振り回されず、自分に合う味を見つけたときの喜びは、体験した人にしか分からない。
「スマホ(をいじりながらの)飲みは寂しい。だから、皆さんも東スポを握りしめて知らない店に入りましょう!」
【孤独のグルメ】「週刊SPA!」(扶桑社)で不定期連載中のグルメ漫画。久住氏の原作で、作画は谷口ジロー氏。雑貨輸入業の主人公・井之頭五郎が仕事の合間に立ち寄った店で食事をする姿をその心模様とともに描く。ジワジワとファンを増やし、テレビドラマが昨年放映されたことで(Season1&2)、さらに人気が加速した。4日にはSeason3をまとめたブルーレイ、DVDボックスが発売された(特典満載)。
☆くすみ・まさゆき…漫画原作者、漫画家、エッセイスト。「スクリーントーンズ」名義で音楽活動も行っており、今回のドラマの音楽も担当している。グルメエッセー「野武士のグルメ」を土山しげるがコミカライズした新連載も幻冬舎plusでスタートした。
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