知る権利を脅かしかねない特定秘密保護法案への懸念は、インターネット上でも広がる。滋賀県在住の男性が運営するサイト「虚構新聞」では法案に関する記事を黒く塗りつぶし、国の情報が隠される社会の息苦しさを表している。閲覧数は2カ月間で13万回を超えたという。

 「辛辣(しんらつ)な風刺」「目にした瞬間ビクッとして、意味を知ってゾクッとした。これが真実になりませんように」――。「特定秘密の保護に関する法律案」という画像の文字以外は全て「■■■■■■」に塗りつぶした記事を見た人からは、こんな感想が寄せられる。

 サイトを運営するのは30代の塾講師、UK氏。学生時代、エープリルフールに友人を驚かす目的で自作のサイトにうそのニュースを書いた。それが虚構新聞に発展し、約9年前から週2~3本のペースで虚偽のニュースを掲載。「円周率、ついに割り切れる」といった記事で話題を呼んだこともある。

 約2カ月前、特定秘密保護法案に絡んで全国紙が国に情報公開を求めた結果を報じた記事を読んだ。公開された資料はほとんど黒塗り。「何が秘密かも分からない。誰が納得すると思うのか」と思ったという。

 紙の新聞に掲載されている首相動静をめぐり、国会で与党議員が「知る権利を超えている」と発言した。首相の予定さえも秘密にされかねない法律ができようとしている――。「国防に必要とする法案の目的自体は否定しない。でも、秘密の範囲が明確じゃなく、将来どう運用されるかも分からない。もっと時間をかけて議論してほしい」。UK氏は訴えている。

 虚構新聞は検索サイトで新聞名を打ち込めば読むことができる。