位置を測定してくれるGPS(全地球測位システム)やカメラなど、便利な機能が盛りだくさんのスマートフォン(スマホ)。しかし、悪質業者が「便利機能」を逆手に取ったり、利用者が使い方を誤ったりして個人情報が漏れるケースも出ています。個人情報を守りながら便利な機能を利用するため、悪用の手口や使い方を知っておきましょう。
アダルトサイトにアクセスしたら、しばらくして知らない業者から突然スマホに電話があり「サイトの視聴料金9万9800円を支払ってください」と要求された。なぜ、電話番号を知られてしまったのか――。東京都消費生活総合センターには、こんな相談が急増しています。
スマホの悪用による架空請求は、悪質業者に個人情報が伝わってしまう点で、パソコンでの被害よりも悪質性が高いとも言われています。同センターによると、パソコンを通じた架空請求の相談は、04年ごろから増え始めました。
ただ、情報処理推進機構(IPA)によると、リンクを一度クリックしただけで高額の使用料などを請求する「ワンクリック詐欺」の業者が1月に不正指令電磁的記録供用容疑で京都府警に逮捕されたのを機に、トラブルは減少しつつあります。
一方、急増しているのがスマホによるトラブルです。同センターによると、スマホの架空請求相談件数は、10年度上半期は7件、下半期は10件でしたが、11年度上半期は139件と、一気に10倍以上に跳ね上がりました。
IPAによると、架空請求の手口は、単に高額の請求画面を見せているだけのものと、ウイルスによるものに大別できます。前者の場合は画面を消してしまえばもう出てきませんが、ウイルスの場合はやっかいです。アダルトサイトにアクセスすると「再生専用アプリ」のダウンロードを促す画面が出ます。
実はこのアプリが悪質業者の仕掛けたウイルスなのですが、そうと知らずにダウンロードしてしまうと、自分の位置情報や電話番号、メールアドレスといった個人情報が知らぬ間に業者に伝わってしまい、業者から料金請求の電話がかかってきたり、メールが送られてきてしまいます。
パソコンの場合も、自分のパソコンのネット上の識別番号「IPアドレス」が業者に知られてしまうことはあります。ただ、IPアドレスだけでは業者が所有者に連絡することはできません。IPAは「所有者にいつでも直接連絡できる点で、パソコンでの詐欺に比べ悪質化しているとも言える」と話しています。

どうすればいいのでしょうか。まずは、提供元が不明などの怪しいアプリをダウンロードしないことです。ダウンロードしてしまったら、しつこい請求があっても絶対に支払わずに、着信を拒否し、アプリもアンインストール(削除)しましょう。
ただ、流出してしまった情報はもう取り戻せません。気になる場合は電話番号やメールアドレスを変更するしかありません。おかしいと思ったり不安を感じたら、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
GPS機能が内蔵されたスマホは、撮った写真に「ジオタグ」と呼ばれる位置データを付けることができます。読み取りソフトをパソコンやスマホにインストールしてジオタグ付きの写真を見ると、地図上の撮影場所に旗が立つなどして、おおまかな撮影場所が分かります。どこで撮影したかを自動的に記録してくれる機能は、使い方次第では便利ですが、ジオタグが付いていることを知らずに自宅で撮った写真をブログなどにアップしてしまうと、知らないうちに住所を公開してしまう危険性があります。
機種にもよりますが、位置情報をオンにしたスマホで写真を撮ると、ジオタグが付くことが多いため、不要な場合は、位置情報をオフにしてから撮影しましょう。ジオタグ付きで撮ってしまった場合も、削除用のソフトで消すことができます。 |