元琴光喜、逮捕　経営の焼き肉店で中国人ら不法雇用

昨年のオープン時に、自らの店をＰＲしていた田宮容疑者

　愛知県警は４日、経営する焼き肉店で不法滞在と知りながら中国人らを働かせたとして、入管難民法違反（不法就労助長）の疑いで、大相撲の元大関・琴光喜の田宮啓司容疑者（３７）＝名古屋市西区＝ら２人を逮捕した。田宮容疑者は「不法滞在とは知らなかった」と容疑を否認している。野球賭博に関与したとして日本相撲協会を解雇された容疑者は、その後、名古屋市西区に焼き肉店「やみつき」を開店。自らも接客して人気店になっていた。

　田宮容疑者らの逮捕容疑は、経営する焼き肉店「やみつき」で、在留資格がない中国人やタイ人を働かせて、不法就労を助長した疑い。県警によると、田宮容疑者は「知らなかった」と容疑を否認しているが、同じ容疑で逮捕された元力士の佐谷英治容疑者（３５）＝名古屋市西区＝は「タイ人についてはビザがないと聞いたことがあるが、中国人については知らなかった」と供述している。

　県警は１１月に店で働いていた中国人とタイ人を入管難民法違反（旅券不携帯）の疑いで現行犯逮捕。在留資格がないことを確認している。中国人は昨年８月から、タイ人は同１２月から店で働いていたという。

　田宮容疑者は大関だった２０１０年７月、野球賭博に関与したとして、日本相撲協会に解雇された。警視庁が１１年３月に賭博容疑で書類送検したが、嫌疑不十分で不起訴処分に。その後、同容疑者は地位確認を求めて東京地裁に同協会を提訴したが、今年９月１２日、解雇処分を有効とする判決が下された。容疑者の代理人は控訴している。解雇問題で係争中の容疑者が、別件ながら不法雇用容疑で逮捕された。

　愛知県岡崎市出身の田宮容疑者は昨年４月に「やみつき」を開店。角界復帰をあきらめていないため、まだ断髪しておらず、頭にバンダナを巻いて自ら接客していた。店の看板の題字は横綱・白鵬が書いており、現役力士や角界関係者もよく食事に訪れているという。

　常連客の３０代の女性は「お店では大関（容疑者）が接客してくれるのがうれしかった。肉はおいしくてボリュームがあったし、お店で嫌な思いをしたことはない。ニュースを聞いてびっくりしたし、残念です」と話した。

　県警では人手不足を解消するために不法滞在者を雇い入れた疑いがあるとみて、調べを進めている。田宮容疑者は逮捕前日の３日も、店で接客し、来客との記念撮影などにもいつも通り気軽に応じていた。

　◆看板書いた白鵬も驚き「なんで」　田宮容疑者の逮捕の情報に、冬巡業中の力士たちは一様に驚きの反応だった。４日は大分市で巡業が行われた。横綱・白鵬（２８）は看板を書いた問題の焼き肉店で食事をしたこともある。それだけに「なんで？」と面食らった様子だった。だが後は顔をしかめ、首を横に振ると残念そうな表情を浮かべ「もう（その話は）やめよう」と多くを語らなかった。

　かつて同じ佐渡ケ嶽部屋でともに汗を流した大関・琴欧洲（３０）は「えっ、なんで？　どういうことなの？　ビックリだよ」と驚きを隠せない様子だった。また親交の深い幕内・豊ノ島（３０）は「知り合いから電話で聞いた。『ウソだろ？』と思った。お店はどうなるんでしょうか…」と心配そうな表情を見せていた。

（2013年12月5日06時05分スポーツ報知）