Q&A(人権委員会設置法案等について)
平成24年11月9日に人権委員会設置法案[PDF](以下「設置法」といいます。)及び人権擁護委員法の一部を改正する法律案[PDF](以下,同法律による改正後の人権擁護委員法を「改正委員法案」と,同法律による改正前の人権擁護委員法を「現行委員法」といいます。)が国会に提出されました。新たな人権救済機関の設置に関しては,これまで様々な御意見やお問い合わせが数多く寄せられましたので,両法案に関し,幾つかの点について,一問一答の形で御説明をさせていただくこととしました(なお,両法案は同月16日,衆議院の解散により廃案となっています。)。(人権擁護局)
Q&Aの全体については,こちらからも御覧になれます。[PDF]
【総論】
Q1 国会提出に至る経緯は,どのようなものなのですか。
Q2 なぜ,新たに人権委員会を設ける必要があるのですか。
Q3 人権委員会が設置されると,何ができるようになるのですか。
Q4 人権侵害事案は法務省の人権擁護機関でもほとんど解決できており,新たに人権委員会を設ける必要はないのではありませんか。
Q5 人権侵害には個別の法律で対処できるのであり,新たに人権委員会を設置する必要はないのではありませんか。
Q6 人権侵害事案は,裁判で解決すればよいのであり,新たに人権委員会を設置する必要はないのではありませんか。
【第一章 総則】
Q7 設置法案が定める「人権侵害行為」とは,どのようなものですか。「人権侵害行為」の定義は曖昧ではありませんか。(設置法案第2条関係)
Q8 「人権侵害行為」を禁止することは自由な言論の弾圧につながるのではありませんか。(設置法案第2条関係)
Q9 外国政府を批判したり,外国人参政権への反対意見を述べたりした場合,外国人がそれを「人権侵害行為」だと申出をすると,人権委員会は「人権侵害行為」だと認定するのではありませんか。(設置法案第2条関係)
Q10 設置法案第2条第2項の規定に違反する行為(識別情報の摘示)とは,どのような行為ですか。その行為を禁止することは,表現活動の自由を不当に取り締まることになったり,表現活動を萎縮させたりすることになりませんか。(設置法案第2条関係)
【第二章 人権委員会】
Q11 人権委員会を三条委員会とするのはなぜですか。(設置法案第4条関係)
Q12 三条委員会では,権限が強すぎるのではありませんか。(設置法案第4条関係)
Q13 人権委員会は,任意の調査しか行わないのに,三条委員会とする必要があるのですか。(設置法案第4条関係)
Q14 人権委員会を三条委員会として設置すると,人権委員会をチェックする機関がなく,人4権委員会が恣意的な判断をしたり暴走したりするのを止めることができなくなるのではありませんか。(設置法案第4条関係)
Q15 人権委員会を法務省の外局として設置することとしたのはなぜですか。(設置法案第4条関係)
Q16 人権委員会の所掌事務である人権啓発とは,具体的にどのようなものですか。公務員を対象とした研修も含まれるのですか。(設置法案第6条関係)
Q17 人権委員会は,どのような国際協力を行うのですか。(設置法案第6条関係)
Q18 人権委員会の委員長及び委員を国会(衆議院及び参議院)の同意を得て任命することとしたのはなぜですか。(設置法案第8条関係)
Q19 人権委員会の委員長や委員に外国人が就任することはないのですか。(設置法案第8条関係)
Q20 人権委員会の委員長や委員の任命要件が曖昧であり,その時々の政権によって恣意的な人選が行われるのではありませんか。(設置法案第8条関係)
Q21 人権委員会の事務局の職員のうちには,弁護士となる資格を有する者を加えなければならないこととしたのはなぜですか。(設置法案第15条関係)
Q22 人権委員会の事務局の事務を法務局・地方法務局に委任することは,人権委員会の独立性を損なうこととなるのではありませんか。(設置法案第15条関係)
Q23 設置法案第19条には,「内閣総理大臣等又は国会に対する意見の提出」が規定されていますが,どのようなことをするのですか。(設置法案第19条関係)
【第三章 人権救済手続】
Q24 人権委員会は,どのような場合に人権相談に応じてくれるのですか。(設置法案第20条関係)
Q25 人権委員会は,どのような場合に人権救済手続を行うのですか。(設置法案第21条関係)
Q26 人権委員会は,公権力による人権侵害行為のみを取り扱えばよく,私人間の人権侵害行為まで取り扱う必要はないのではありませんか。(設置法案第2条,第21条関係)
Q27 人権委員会は,どのような調査を行うのですか。令状なしに,家宅捜索をしたり,証拠を差し押さえたりすることができるのですか。また,調査の不協力には,罰則があるのですか。(設置法案第22条関係)
Q28 人権委員会が行う調査は,任意の調査に限られるとされていますが,公務員による人権侵害事案では,行政機関が調査に協力しなくなってしまうのではありませんか。(設置法案第22条関係)
Q29 人権委員会は,人権侵害行為があったとき,どのような対応を行うのですか。人権委員会は,人権侵害行為をした人を摘発して処罰するのですか。(設置法案第 24条関係)
Q30 人権委員会は,人権侵害行為があったか否かをどのように判断するのですか。また,その判断を公正に行うことができるのですか。(設置法案第24条関係)
Q31 人権委員会は,人権侵害行為による被害の申出をした人の主張だけ聞いて人権侵害行為か否かの判断を一方的に行うのではないのですか。(設置法案第24条関係)
Q32 人権侵害行為があったと認定して勧告等を行ったが,その後,同一の事案について裁判所の判決でその行為は違法ではないとの判断が示されたような場合,人権委員会の判断は,どうなるのですか。(設置法案第24条関係)
Q33 人権委員会は,公務員による人権侵害行為については,どのような措置を行うことになるのですか。(設置法案第25条ないし第27条関係)
Q34 人権委員会は,設置法案第2条第2号の規定に違反する行為(識別情報の摘示)については,どのような措置を行うことができるのですか。(設置法案第28条関係)
Q35 人権委員会が調停・仲裁を行うことができることにしたのはなぜですか。どのような場合に調停・仲裁を行うことになるのですか。(設置法案第29条ないし第43条関係)
Q36 人権調整委員とは何ですか。人権擁護委員とは違うのですか。(設置法案第31条関係)
Q37 法務省は,人権委員会を設置することで,組織を拡大させたいだけなのではありませんか。現在の法務省人権擁護局はどうなるのですか。
Q38 法務省の役人が天下りをするために新たな組織を作ろうとしているのではありませんか。
Q39 人権委員会の調査,判断,措置等に不満がある場合には,どうしたらよいですか。
Q40 この法案では,かつての法案にあったマスコミ条項の導入が見送られていますが,マスコミを不当に優遇しているのではありませんか。
【人権擁護委員法一部改正関係】
Q41 人権委員会は,5年後に,強大な権限を有する組織に変えられてしまうのではありませんか。(設置法案附則第3条関係)
Q42 人権擁護委員法については,どのような点を改正するのですか。
Q43 人権擁護委員と人権委員会の委員長及び委員は違うのですか。
Q44 外国人も人権擁護委員になることができるのですか。(改正委員法案第5条関係)
Q45 外国人に地方参政権が付与されることになれば,外国人が人権擁護委員を委嘱されることになるのですか。(改正委員法案第5条関係)
Q46 人権擁護委員の資格要件を日本国籍を有する者としないのはなぜですか。(改正委員法案第5条関係)
Q47 法律,医療,心理又は教育等の専門的な知識経験を有する適任者について,例外的に市町村長の推薦した者以外の者からも人権擁護委員を委嘱することができることにするのはなぜですか。(改正委員法案第5条)
Q48 人権擁護委員について,国家公務員法適用排除規定(現行委員法第5条)を削除し,非常勤の国家公務員と位置付けることとしたのはなぜですか。近時の国家公務員人件費削減の政策に反することになるのではありませんか。(改正委員法案第7条関係)
Q49 人権擁護委員は,人権救済手続にどのように関与するのですか。何が人権侵害行為に当たるかについて,人権擁護委員が恣意的な判断をすることはありませんか。(改正委員法案第9条関係)
Q50 人権擁護委員に守秘義務はあるのですか。(改正委員法案第10条関係)
【総論】
Q1 国会提出に至る経緯は,どのようなものなのですか。 |
検討の経緯は次のとおりです。
(1) 平成8年 人権擁護施策推進法の成立
(2) 平成9年 人権擁護推進審議会の設置
(3) 平成13年 人権擁護推進審議会の答申
(4) 平成14年 人権擁護法案を国会に提出
(5) 平成15年 人権擁護法案が廃案
(6) 平成22年6月 法務省政務三役が「中間報告」を公表
(7) 平成23年8月 法務省政務三役が「基本方針」を公表
(8) 平成23年12月 法務省政務三役が「法案の概要」を公表
(9) 平成24年9月 政府が設置法案等を閣議決定
(10)平成24年11月9日 政府が設置法案等を国会に提出
Q2 なぜ,新たに人権委員会を設ける必要があるのですか。 |
我が国で起きている様々な人権問題について,より信頼性が高く,実効的な救済を実現するため,政府からの独立性を有する新たな人権救済機関(人権委員会)を設置する必要があります。また,国際的にも,政府からの独立性を有する新たな人権救済機関の設置が要請されています。
Q3 人権委員会が設置されると,何ができるようになるのですか。 |
人権委員会では,(1)政府からの独立性を有する立場で,公権力による人権侵害行為を始めとする人権侵害行為について,より実効的な救済を図ること(設置法案第25条ないし第27条等),(2)新たに調停・仲裁の制度(設置法案第29条ないし第43条)を取り入れて救済を推進すること,(3)国内の人権状況等を踏まえ,内閣総理大臣,関係行政機関の長又は国会に対し,意見を提出すること(設置法案第19条)などができるようになります。
Q4 人権侵害事案は法務省の人権擁護機関でもほとんど解決できており,新たに人権委員会を設ける必要はないのではありませんか。 |
国民から広く信頼され,公権力による人権侵害への対処も含めてより実効的な救済を実現するには,政府からの独立性を有し,公正中立さが制度的に担保された人権委員会を設置することが必要です(Q2参照)。
Q5 人権侵害には個別の法律で対処できるのであり,新たに人権委員会を設置する必要はないのではありませんか。 |
個別の法律による対処には限界があります。国民の利用しやすさという観点からも,現在の法務省の人権擁護機関と同じように,あらゆる人権問題を取り扱う人権委員会が必要です。
Q6 人権侵害事案は,裁判で解決すればよいのであり,新たに人権委員会を設置する必要はないのではありませんか。 |
裁判による解決には様々な制約や限界があることから,すべての人権侵害事案を裁判所で解決するということは,現実的ではありません。人権委員会は,裁判による解決を補完し,簡易・迅速・柔軟な救済を目指すものとして設置されるものです。
【第一章 総則】
Q7 設置法案が定める「人権侵害行為」とは,どのようなものですか。「人権侵害行為」の定義は曖昧ではありませんか。(設置法案第2条関係) |
「人権侵害行為」とは,特定の者の人権を違法に侵害する行為をいいます(設置法案第2条第1項)。具体的には,憲法の人権規定に抵触する公権力等による侵害行為のほか,私人間においては,民法,刑法その他の人権にかかわる法令の規定に照らして違法とされる侵害行為がこれに当たります。
Q8 「人権侵害行為」を禁止することは自由な言論の弾圧につながるのではありませんか。(設置法案第2条関係) |
そのようなことはありません。
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Q9 外国政府を批判したり,外国人参政権への反対意見を述べたりした場合,外国人がそれを「人権侵害行為」だと申出をすると,人権委員会は「人権侵害行為」だと認定するのではありませんか。(設置法案第2条関係) |
そのようなことはありません。
⇒もっと知りたい方はこちら
Q10 設置法案第2条第2項の規定に違反する行為(識別情報の摘示)とは,どのような行為ですか。その行為を禁止することは,表現活動の自由を不当に取り締まることになったり,表現活動を萎縮させたりすることになりませんか。(設置法案第2条関係) |
本法案第2条第2項の規定は,不特定多数の者に対する不当な差別的取扱いを生じさせるおそれが大きい行為について,具体的な要件を定めた上で,これを許されないものとするものです。上記規定に違反する行為(識別情報の摘示)の要件は,限定されており,表現活動の自由を不当に制約したり,表現活動を萎縮させたりするものではありません。
【第二章 人権委員会】
Q11 人権委員会を三条委員会とするのはなぜですか。(設置法案第4条関係) |
人権委員会を,政府からの独立性を有し,公正中立さが制度的に担保された組織とするためには,国家行政組織法第3条第2項に規定された委員会(いわゆる三条委員会)が最もふさわしいと考えられます。
Q12 三条委員会では,権限が強すぎるのではありませんか。(設置法案第4条関係) |
委員会の権限は,法律がその委員会にどのような権限を与えるのかによって決まるものです。三条委員会であることから,直ちにその権限が強すぎるということにはなりません。そして,本法案に規定する人権委員会の権限は強すぎるものではありません。
Q13 人権委員会は,任意の調査しか行わないのに,三条委員会とする必要があるのですか。(設置法案第4条関係) |
人権委員会を三条委員会として設置するのは,政府からの独立性を有する組織とする必要があるからです。このことと,人権委員会が行う調査を任意のものに限ることとは直接関係がありません。
Q14 人権委員会を三条委員会として設置すると,人権委員会をチェックする機関がなく,人権委員会が恣意的な判断をしたり暴走したりするのを止めることができなくなるのではありませんか。(設置法案第4条関係) |
人権委員会も,三権分立の下で,他の行政機関と同様,その権限は立法府が制定する法律に基づいて与えられ,その範囲で活動する行政機関です。恣意的な判断や暴走をするような仕組みにはなっていません。
Q15 人権委員会を法務省の外局として設置することとしたのはなぜですか。(設置法案第4条関係) |
法務省には,60年以上にわたる人権擁護行政の知識・経験の蓄積があります。これを活用することによって,新制度の速やかな実現と円滑な運営の確保を図ることができると考えられるため,人権委員会を法務省の外局として設置することとしました。
Q16 人権委員会の所掌事務である人権啓発とは,具体的にどのようなものですか。公務員を対象とした研修も含まれるのですか。(設置法案第6条関係) |
人権啓発は,国民一人一人の人権意識を高め,人権への理解を深めてもらうための活動で,研修型,広報型,イベント型等様々な形のものがあり,公務員を対象とした人権研修もこれに含まれます。
Q17 人権委員会は,どのような国際協力を行うのですか。(設置法案第6条関係) |
人権委員会は,諸外国の国内人権機構への協力などの国際協力を行うことが考えられます。
Q18 人権委員会の委員長及び委員を国会(衆議院及び参議院)の同意を得て任命することとしたのはなぜですか。(設置法案第8条関係) |
人権委員会の委員長及び委員は,職責の重要性に鑑み,その資格要件の有無を適切に判断し,その人選に国民の多様な意見を反映させるため,国会(衆議院及び参議院)の同意を得て任命することとしたものです。
Q19 人権委員会の委員長や委員に外国人が就任することはないのですか。(設置法案第8条関係) |
人権委員会の委員長及び委員に外国人が就任することはありません。
Q20 人権委員会の委員長や委員の任命要件が曖昧であり,その時々の政権によって恣意的な人選が行われるのではありませんか。(設置法案第8条関係) |
人権委員会の委員長及び委員は,国会の同意を得た上で内閣総理大臣により任命されます(Q18参照)。恣意的な人選が行われることはありません。
Q21 人権委員会の事務局の職員のうちには,弁護士となる資格を有する者を加えなければならないこととしたのはなぜですか。(設置法案第15条関係) |
人権委員会の事務局の事務を処理するに当たっては,高度の法的専門知識が必要となるためです。
Q22 人権委員会の事務局の事務を法務局・地方法務局に委任することは,人権委員会の独立性を損なうこととなるのではありませんか。(設置法案第15条関係) |
人権委員会の地方における体制を充実させるため,事務局の事務を法務局長及び地方法務局長に委任することができることとしていますが(設置法案第15条第6項),それにより,人権委員会の独立性を損なうことはありません。
Q23 設置法案第19条には,「内閣総理大臣等又は国会に対する意見の提出」が規定されていますが,どのようなことをするのですか。(設置法案第19条関係) |
人権委員会は,広く人権政策全般について意見を提出することができます。
【第三章 人権救済手続】
Q24 人権委員会は,どのような場合に人権相談に応じてくれるのですか。(設置法案第20条関係) |
人権委員会は,人権侵害行為に関し,広く相談に応じます。
Q25 人権委員会は,どのような場合に人権救済手続を行うのですか。(設置法案第21条関係) |
人権委員会は,人権侵害行為による被害の申出を受けた場合や,人権侵害行為に関する情報を得た場合に,人権救済手続を開始することになります。
Q26 人権委員会は,公権力による人権侵害行為のみを取り扱えばよく,私人間の人権侵害行為まで取り扱う必要はないのではありませんか。(設置法案第2条,第21条関係) |
私人間の人権侵害行為は重要な社会問題であり,人権委員会は,現在の法務省の人権擁護機関と同様,私人間の人権侵害行為も取り扱う必要があります。
Q27 人権委員会は,どのような調査を行うのですか。令状なしに,家宅捜索をしたり,証拠を差し押さえたりすることができるのですか。また,調査の不協力には,罰則があるのですか。(設置法案第22条関係) |
人権委員会は,関係者から事情を聴いたり,資料を収集したりするなどの調査を行います。しかし,家宅捜索をしたり,証拠の差押えをしたりすることはありません。また,調査を拒否したとしても罰則等の制裁はありません。
Q28 人権委員会が行う調査は,任意の調査に限られるとされていますが,公務員による人権侵害事案では,行政機関が調査に協力しなくなってしまうのではありませんか。(設置法案第22条関係) |
そのようなことはありません。
Q29 人権委員会は,人権侵害行為があったとき,どのような対応を行うのですか。人権委員会は,人権侵害行為をした人を摘発して処罰するのですか。(設置法案第24条関係) |
人権委員会は,人権侵害行為をした人を処罰する機関ではなく,人権侵害行為をした人を含め,国民に人権についての理解を深めてもらうための機関です。
Q30 人権委員会は,人権侵害行為があったか否かをどのように判断するのですか。また,その判断を公正に行うことができるのですか。(設置法案第24条関係) |
人権委員会は,事実関係に関する証拠を収集した上で,どのような事実があったと認められるかを検討し,それが人権侵害行為に当たるか否かを法的な観点から判断します。人権委員会は,このような事実認定及び法的判断を公正中立な立場から行うのにふさわしい機関として設置されるものです。
Q31 人権委員会は,人権侵害行為による被害の申出をした人の主張だけ聞いて人権侵害行為か否かの判断を一方的に行うのではないのですか。(設置法案第24条関係) |
人権委員会は,公正かつ中立な機関であり,人権侵害行為による被害の申出をした人の主張だけを聞いて,人権侵害行為か否かの判断を行うものではありません。
Q32 人権侵害行為があったと認定して勧告等を行ったが,その後,同一の事案について裁判所の判決でその行為は違法ではないとの判断が示されたような場合,人権委員会の判断は,どうなるのですか。(設置法案第24条関係) |
裁判所の判断が優先することは当然です。人権委員会が講じた「勧告」や「要請」の措置の内容と抵触する裁判が確定した場合は,その措置は,その裁判と抵触する範囲で撤回されたことになります(設置法案第24条第5項)。
Q33 人権委員会は,公務員による人権侵害行為については,どのような措置を行うことになるのですか。(設置法案第25条ないし第27条関係) |
公務員による人権侵害行為について,人権委員会は,私人による場合と同様の救済措置に加え,所属機関等に対する勧告,公表,資料の閲覧等の措置を講ずることができます。
Q34 人権委員会は,設置法案第2条第2号の規定に違反する行為(識別情報の摘示)については,どのような措置を行うことができるのですか。(設置法案第28条関係) |
人権委員会は,「説示」「勧告」「要請」の措置を講ずることができます(設置法案第28条第2項)。
Q35 人権委員会が調停・仲裁を行うことができることにしたのはなぜですか。どのような場合に調停・仲裁を行うことになるのですか。(設置法案第29条ないし第43条関係) |
調停・仲裁は,当事者双方の意向を踏まえた紛争解決方法であり,人権侵害行為に関する事案の解決に資するものと考えられるため,救済措置の一つとして,これらの制度を設けることとしました。
人権侵害事案の当事者は,調停・仲裁の申請をすることができますし,人権委員会が,職権で調停を開始することもあります。
様々な事案において,調停や仲裁を活用した解決が図られることが期待されます。
Q36 人権調整委員とは何ですか。人権擁護委員とは違うのですか。(設置法案第31条関係) |
人権調整委員は,調停・仲裁を担当する者をいいます。人権擁護委員とは異なります。
【その他人権委員会設置法案関係】
Q37 法務省は,人権委員会を設置することで,組織を拡大させたいだけなのではありませんか。現在の法務省人権擁護局はどうなるのですか。 |
新たな人権救済機関を設置することの必要性についてはQ2で述べたとおりです。法務省の組織を拡大させる目的ではありません。人権委員会が設置されれば,現在の法務省人権擁護局は廃止されます。
Q38 法務省の役人が天下りをするために新たな組織を作ろうとしているのではありませんか。 |
人権委員会の委員長及び委員やその事務局が法務省の天下りポストであるということはありません。
Q39 人権委員会の調査,判断,措置等に不満がある場合には,どうしたらよいですか。 |
人権侵害に関する紛争については,司法的救済を求めることが可能です。
Q40 この法案では,かつての法案にあったマスコミ条項の導入が見送られていますが,マスコミを不当に優遇しているのではありませんか。 |
この法案は,マスコミを優遇するものではありません。マスコミによる人権侵害行為も一般の国民や他の企業等と同様,調査・措置の対象になります。
Q41 人権委員会は,5年後に,強大な権限を有する組織に変えられてしまうのではありませんか。(設置法案附則第3条関係) |
将来の法改正の要否や内容については何も決まっていません。
【人権擁護委員法一部改正関係】
Q42 人権擁護委員法については,どのような点を改正するのですか。 |
人権擁護委員法については,人権擁護委員に国家公務員法を適用すること,委嘱権者等を法務大臣から人権委員会に変更すること,市町村長の推薦によらない特例委嘱制度を創設することなどの改正を行います。
Q43 人権擁護委員と人権委員会の委員長及び委員は違うのですか。 |
違います。人権委員会の委員長及び委員は,人権委員会そのものの構成員です。一方,人権擁護委員は,人権委員会の委嘱を受け(改正委員法案第12条),全国の各地において人権擁護の活動を行う有識者の人たちです。
Q44 外国人も人権擁護委員になることができるのですか。(改正委員法案第5条関係) |
外国人は人権擁護委員になることができません。
Q45 外国人に地方参政権が付与されることになれば,外国人が人権擁護委員を委嘱されることになるのですか。(改正委員法案第5条関係) |
外国人に地方参政権を付与するか否かの検討過程で,改めて議論される問題です。
Q46 人権擁護委員の資格要件を日本国籍を有する者としないのはなぜですか。(改正委員法案第5条関係) |
現段階においては,現行の規定を改正する必要は認められません。
Q47 法律,医療,心理又は教育等の専門的な知識経験を有する適任者について,例外的に市町村長の推薦した者以外の者からも人権擁護委員を委嘱することができることにするのはなぜですか。(改正委員法案第5条) |
専門性を有する人権擁護委員を確保し,人権擁護委員制度のより一層の活性化を図るためです。
Q48 人権擁護委員について,国家公務員法適用排除規定(現行委員法第5条)を削除し,非常勤の国家公務員と位置付けることとしたのはなぜですか。近時の国家公務員人件費削減の政策に反することになるのではありませんか。(改正委員法案第7条関係) |
人権擁護委員を非常勤の国家公務員と位置付けるのは,人権擁護委員に関する法律関係をより実態に即したものとするためです。また,法改正後も,人権擁護委員は無給であり,近時の国家公務員人件費削減の政策に反することにはなりません。
Q49 人権擁護委員は,人権救済手続にどのように関与するのですか。何が人権侵害行為に当たるかについて,人権擁護委員が恣意的な判断をすることはありませんか。改正委員法案第9条関係) |
人権擁護委員は,人権委員会の指揮監督を受け,必要な調査をし,適当な措置(援助及び調整)を講じます。人権擁護委員が人権侵害行為に当たるかどうかの判断を独自にすることはありません。
Q50 人権擁護委員に守秘義務はあるのですか。(改正委員法案第10条関係) |
人権擁護委員には守秘義務があります(国家公務員法第100条第1項,罰則は第109条第12号)。
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