東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

「廃案に」強まる声 秘密保護法案 国内外から懸念

写真

 国民の知る権利を侵害する恐れがある特定秘密保護法案に対し、反対を訴える動きが日本だけでなく、世界にも広がっている。安倍政権は今国会会期末の6日までに成立を目指すが、法案の危うさが明らかになる中、著名な文化人や芸術家、学者らだけでなく、あらゆる層の団体や市民らが廃案を求めて声を上げ始めている。 (関口克己)

 環境保護団体グリーンピース・ジャパンは三日正午までの二十四時間、ホームページを黒塗りにする抗議活動を実施。法案が成立すれば、国から開示される資料がさらに塗りつぶされると想定し、真っ黒の画面で「情報が真っ黒にされる時代で良いですか?」と問い掛けた。

 「原子力規制を監視する市民の会」など脱原発を訴える約二百七十団体は四日、法案に反対する声明を出した。「市民の会」の阪上武さん(49)は「今も原発に関する情報は秘密だらけ。秘密保護法案が成立すれば、情報開示請求をするだけで処罰されかねない」。

 反対を求める動きは、法案の目的の「安全保障」とは直接、関係がない団体にも広がる。成立して、国の秘密主義が強まれば不利益を受けるからだ。

 無駄なダム計画などに反対する団体でつくる水源開発問題全国連絡会(事務局・横浜市)は、十一月上旬に緊急声明をまとめた。会は「住民の暮らしと河川環境を根底から破壊する」として多くのダム計画の情報を入手・分析して国を追及してきただけに、法案が成立すれば活動が封じられるとみている。

 遠藤保男共同代表(69)は「国土交通相が理由を付けてダム事業を秘密指定すれば、国民がどんな計画か分からないまま、好き放題に造ってしまう」と訴える。

 法案反対の動きは、医療の世界でも始まった。三日には「法案に反対する医師と歯科医師の会」ができ、四日時点で二百三十人余が反対声明に賛同した。声明は「診療で得る患者の病歴などを、国に強制的に提供させられるかもしれない」と懸念する。

 呼び掛け人代表の麻酔医、青木正美さん(55)は「患者のプライバシーを国が踏みにじろうとしている。法案を後世に残すことは絶対にできない」と強調した。国際的にも、国連の人権高等弁務官が「政府が不都合な情報を秘密扱いする可能性がある」などと懸念を表明。多くの人権団体も反対を訴える。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo