「ノーモア大毅」ＪＢＣがＩＢＦに要求

　「亀田騒動」から一夜明けた４日、試合を主管した日本ボクシングコミッション（ＪＢＣ）は対応に追われた。ＩＢＦ（国際ボクシング連盟）とＷＢＡ（世界ボクシング協会）の世界スーパーフライ級王座統一戦で、亀田大毅（２４＝亀田）が判定負けしながらＩＢＦ王座にとどまるという“裁定”に異議が噴出。ＪＢＣ浦谷事務局長代行は、ＩＢＦの立会人を務めたタッカー氏とピープルズ会長に事情説明と細部の確認を求める質問状をメールで送付。「回答を待っている」と明かした。

　ＪＢＣは困惑していた。浦谷事務局長代行はこの日、ＩＢＦに事情説明を求める連絡を入れた。試合前日、立会人のタッカー氏はＪＢＣ、ＷＢＡ関係者と並んだ会見で「亀田大が勝てば王座統一、負ければ両王座とも空位」と説明した。だが、試合後には「王者は勝敗にかかわらずタイトルを保持」という規定があると言いだし混乱を招いた。試合前日に規定と違う説明をしながら、なぜ試合後には規定の存在を持ちだしたのか。詳細な説明がなければ納得できるはずがない。

　タッカー氏は亀田大は王座を防衛したと認めたが、ＩＢＦの規定には、挑戦者が計量で失格した場合は「王者は勝敗に関係なく王座を保持（英語でＲｅｔａｉｎ）」とある。浦谷氏は「防衛とは書かれていない。防衛とするのかも（ＩＢＦに）確認している」と話し、初防衛を認めることに慎重な姿勢を示した。

　すべての発端は「亀田大が勝てば王座統一、負ければ両王座とも空位」というタッカー氏の発言だ。試合を主催したＴＢＳの中継でも放送された。だが、実際には「王者は勝敗にかかわらずタイトルを保持する」との規定があり、亀田陣営の嶋マネジャーも「ルールミーティングで説明を受けた」と認識。結果として興行への影響を心配して公表を控えたと思われても仕方ない。浦谷氏は「ルールは把握していたが統一戦は特別ルールの場合もあるので」と苦しい弁明だった。

　日本プロボクシング協会の大橋会長は「ボクも知らなかったルール。説明不足でファンに不信感を持たれる」と苦渋の表情だ。ＩＢＦは３番目に設立された団体で他団体と違いを出すルールが多い。９月の亀田大の世界戦では、当日計量にＪＢＣが立ち会えないトラブルもあった。大橋氏は「４団体ＯＫになってルールは大きな課題」とした。

　ＪＢＣには、日本王者がノンタイトル戦でも正規の体重で戦って負ければ王座から陥落するルールがある。ＪＢＣ秋山専務理事は「ＩＢＦに従うが、２度と起きないようにしたい」と話した。ＪＢＣには厳格なルールを採用する組織にふさわしい試合運営が求められる。

＜大毅ＶＳソリス騒動ＶＴＲ＞

　◆２日　前日計量でソリスがリミットから１・４キロ超過。１時間後の再計量でも１・１キロ超過で減量を断念し、その場で水やコーラをがぶ飲み。計量失敗で、ＷＢＡ王座を剥奪。ルールミーティング直後の会見でＪＢＣ森田事務局長とＩＢＦの立会人タッカー氏は「大毅が勝てば王座統一、大毅が負けた場合は、ＩＢＦ王座は空位となる」と説明した。

　◆３日　試合ではソリスが大毅を手数で圧倒し、２－１の判定で勝利した。だが、試合後にＩＢＦのタッカー氏が「ソリスが計量ミスした時点で勝敗に関係なく、ＩＢＦ王者は大毅」と発言し「（空位になると）言っていたとしたらそれは間違いだ」と弁明した。ＪＢＣ森田事務局長はＩＢＦの言い分について「聞いていない。負ければ王者ではないと昨日は聞いている」と話した。

　［2013年12月5日8時13分　紙面から］